AWSのコンサルティングパートナーとは?サポート内容や利用するメリットを解説
AWS(Amazon Web Services)の利用を検討している方の中で、どうやって導入すれば良いかわからない方や導入後の運用が不安な方がいるのではないでしょうか。
AWSを利用する中でさまざまな不安を抱えている方は、AWSのコンサルティングサービスを利用してサポートしてもらうことがおすすめです。
そこで本記事では、AWSのコンサルティングパートナーのサポート内容や、コンサルティングサービスを利用するメリットをご紹介します。
そのほか、AWSのコンサルティングサービスを受ける流れをお伝えするので、コンサルティングサービスの利用を検討している方はぜひ参考にしてください。
目次
AWSのコンサルティングパートナーとは?
AWS(Amazon Web Services)のコンサルティングパートナーは、AWSのクラウドコンピューティングサービスを活用して顧客のビジネスニーズをサポートする専門企業や組織です。
AWSは非常に多くのサービスや機能を提供していますが、それらを最大限に活用してビジネスの成功に貢献するためには専門的な知識やスキルが必要です。ここで、AWSのコンサルティングパートナーが重要な役割を果たします。
AWSのコンサルティングパートナーは、AWSの専門的な知識と経験を持つ専門家集団であり、顧客のビジネスニーズに合わせたクラウドコンピューティングソリューションを提供します。AWSのサービスやベストプラクティスについての豊富な知識を持ち、顧客が最適なクラウド環境を構築したり、運用するための助言や支援を行ったりするので、システム構築から運用までしっかりサポートしてもらえるでしょう。
具体的には、AWSのサービスを使ってシステムやアプリケーションを設計・実装、既存のオンプレミス環境や他のクラウドプロバイダからAWSへの移行支援、十分なセキュリティ対策などを行います。
そのほか、システムやアプリケーションのパフォーマンスの最適化、コストの最適化までサポートしてもらえるので、AWSを導入したあとも安心です。
AWSパートナーになれる企業の条件
AWSパートナーは、150か国以上から10万社以上を超えます。2023年6月時点の国内のAWSプレミアティアサービスパートナー数は、12社です。AWSパートナーは、どの企業もすぐになれるものではなく、条件を満たす必要があります。
AWSのコンサルティングサービスを提供できるパートナーは、各種ティア(セレクト、アドバンスト、プレミア)の3つに分けられます。AWSパートナーの種類によって条件が異なります。
引用:AWS サービスパートナーティア
AWSセレクトティアサービスパートナーになるための条件は、以下の通りです。
- 年会費:$2,500
- AWSプロフェッショナル認定資格者数:4名(技術2人、ビジネス2人プロフェッショナル)
- AWSクラウドプラクティショナー認定資格者数:2名
- AWS認定技術者数:2名
- 年立ち上げ済み収益機会:3件
- AWS月額利用料:$1,500
AWSアドバンストティアサービスパートナーになるための条件は、以下の通りです。
- 年会費:$2,500
- AWSプロフェッショナル認定資格者数:8名(技術4人、ビジネス4人プロフェッショナル)
- AWSクラウドプラクティショナー認定資格者数:4名
- AWS認定技術者数:6名(最低3人のプロフェッショナルまたはスペシャリティ)
- 年立ち上げ済み収益機会:20件
- AWS月額利用料:$10,000
- パートナービジネスプラン:必要
- 公開事例:2件
- 顧客満足度(CSAT)の回答:20名
AWSプレミアティアサービスパートナーになるための条件は、以下の通りです。
- 年会費:$2,500
- AWSプロフェッショナル認定資格者数:20名(技術10人、ビジネス10人プロフェッショナル)
- AWSクラウドプラクティショナー認定資格者数:10名
- AWS認定技術者数:25名(最低10人のプロフェッショナルまたはスペシャリティ)
- 年立ち上げ済み収益機会:50件
- AWS月額利用料:$50,000
- パートナービジネスプラン:必要
- エグゼクティブビジネスレビュー:必要
- AWS コンピテンシー、AWS MSP、またはAWS Well Architected:必要(3件、MSPまたはDevOpsコンピテンシーを3つのうちの1つとして含める必要がある)
- 公開事例:6件
- 顧客満足度(CSAT)の回答:30名
AWSプレミアティアサービスパートナーの場合、パートナービジネスプランやエグゼクティブビジネスレビューなどの条件を6か月間以上継続する必要があります。
AWSのコンサルティングパートナーのサポート内容
AWSのコンサルティングパートナーを利用する前に、どのようなサポートを行ってくれるのか知っておきましょう。
ここでは、AWSのコンサルティングパートナーの主なサポート内容を3つに大きく分けてご紹介します。
アーキテクチャ設計支援
アーキテクチャ設計支援といっても、さまざまな種類のシステムの設計をサポートしてもらえます。たとえば、Webシステムやアプリケーション、動画配信システムなどがあります。
AWSは、運用上の優秀性・セキュリティ・信頼性・パフォーマンス効率・コスト最適化の5つの観点から作成されたAWS Well-Architectedフレームワークを無料で提供しています。
AWS Well-Architectedフレームワークは、クラウドアーキテクチャ設計のベストプラクティスに関する資料であり、この資料を参考にAWSを利用したアーキテクチャ設計を支援している企業もあるでしょう。
アーキテクチャ設計が完了した後も、AWSコンサルティングパートナーはシステムの健全性を保つためのレビューや最新のベストプラクティスへの適用をサポートします。このような専門的なサポートを通じて、クライアントは最適なクラウド環境を構築し、持続的なビジネス成果を得ることができます。
運用支援
運用設計支援では、監視設計、ログ管理、バックアップ、AWSアカウント・IAM管理設計などを行います。システムやアプリケーションなどを設計して導入したあとのサポートであり、セキュリティ面にも影響します。
不正ログやトラブルなどを監視するには、24時間365時間体制の万全の環境を整える必要があるでしょう。自社スタッフのみで監視体制を整えようとすると、自社スタッフの業務負担が増えて、業務効率の低下にもつながる恐れがあります。
そこでAWSのコンサルティングパートナーに支援してもらうことで、AWSの運用業務を自社で行う必要がなくなります。AWSに関する知識を豊富に持った方に監視してもらえるので、万が一トラブルが起こっても安心です。
AWS技術支援
AWSの技術支援は、システム設計から運用・保守までをすべてコンサルタントに任せるのではなく、サポートを受けながら自社でAWSを導入・運用する支援を指します。
AWSに関する知識やノウハウを十分に培っている方が、講師となってサポートしてくれるので安心です。現地でのサポートまたはオンラインサポートがあり、一人ひとりの知識量やレベルに合わせて指導できるプランを扱っているところもあります。
AWSの技術支援によって、自社内でAWSに詳しい人材を育成できるメリットにつながります。AWSの運用の一部を自社内で管理できるようになると、コスト削減にもつながる可能性があるでしょう。
AWSのコンサルティングサービスを利用するメリット4つ
AWSのコンサルティングサービスを利用しようか迷っている方は、まず利用するメリットを知っていきましょう。
ここでは、AWSのコンサルティングサービスを利用するメリットを4つご紹介します。
AWS資格を保有しているエンジニアがサポート
AWSのコンサルティングサービスを提供している企業には、AWS資格を持ったエンジニアが複数人在籍しています。AWSに認定されている企業のエンジニアなので、安心して導入から運用まで任せられるでしょう。
またAWSでシステムを運用する上でトラブルによってシステムが停止した場合、いかに停止時間を短く抑えられるかを重視している方もいるでしょう。そのような方は、AWSのコンサルティングサービスの利用がおすすめです。
多くのコンサルタントでは、24時間365日間監視をしトラブルが起こったときにすぐに対応してくれます。異常が見つかれば、その都度メールやチャットなどの連絡手段で知らせてくれるケースがほとんどです。
自社内にAWSに詳しい人材がいなくてもシステム構築が可能
AWSのコンサルティングサービスを利用すると、AWSに関する知識を豊富に持った方にサポートしてもらえるので、自社内にAWSに詳しい人材がいなくてもシステム構築ができます。
そのほか、システムのパフォーマンスの最適化などもできるので、AWSの知識がなくても長期運用を実現できます。
コストの最適化
AWSは、さまざまな種類のサービスを提供しており複雑な従量課金制を採用しています。そのためサービスそれぞれの利用状況を把握したり、日本円に換算するとどれくらいかかるのか理解したりする必要があります。
AWSのコンサルティングサービスを利用すれば、ドル建てで支払う必要がある料金を日本円で請求書払いしたり、料金の仕組みをわかりやすく解説してもらったりすることが可能です。
AWSのコンサルタントによって、削除・終了すべきリソースが見つかれば、無駄な料金をカットできコストの最適化につながります。
セキュリティの確保
AWS資格を保持しているエンジニアは、AWSのセキュリティ強化の知識も豊富に持っています。
AWSでシステム運用を行いたいものの、どのようにセキュリティを強化すべきかわからない、個人情報が漏洩するリスクを少しでも下げたいという方は、AWSのコンサルティングサービスの利用がおすすめです。
またAWSの技術支援によって、AWSのセキュリティに関する知識を身につけられるチャンスもあります。セキュリティに対する理解を自社側でも深めることで、適切なセキュリティ対策が行えているか確認が可能です。
適切なAWSのコンサルティングパートナーを選ぶポイント
AWSのコンサルティングパートナーを利用する際、自社に合ったところに依頼することがポイントです。ここでは、適切なコンサルティングパートナーを選ぶときのポイントを3つご紹介します。
レベルやスキルセットの選定
AWSのコンサルティングパートナーを選ぶ際に重要なポイントの一つは、そのパートナーのレベルやスキルセットです。
たとえば、パートナーがどのような専門分野に強みを持っているかを確認します。セキュリティ、データベース、マイグレーションなど、自身のプロジェクトに関連するスキルを持っているかをチェックしましょう。
自身の業界に関する理解と知識を持っているパートナーを選ぶことで、業界特有のニーズや課題に対処するのが効果的です。業界のトレンドや要件を理解しているパートナーが、より適切なソリューションを提供できるでしょう。
またパートナーが過去にどれだけ多くのプロジェクトに関与し、それらをどれだけ成功させたかを確認します。プロジェクトの規模や複雑性に応じて、経験が豊富なパートナーを選ぶことがポイントです。
実績とクライアントの声を確認する重要性
AWSのコンサルティングパートナーを選ぶ際、その実績やクライアントの声を確認することは非常に重要です。こうした情報を確認することで、パートナーの信頼性や専門性を評価し、適切な選択が行えます。
パートナーが過去にどれだけ多くのプロジェクトを成功させてきたかを確認すると、その信頼性と実績を評価できます。成功したプロジェクトは、パートナーの能力やスキルを証明する大きな要素です。
またパートナーが過去に関与したプロジェクトが、自身のプロジェクトとどれだけ類似しているかによって、そのパートナーが自身のニーズに適しているかを判断できます。
コストとパフォーマンスのバランス
AWSのコンサルティングパートナーを選ぶ際に、コストパフォーマンスのバランスを考えることは重要です。
パートナーが提供するサービスの価格が明確で、隠れた追加費用やコストがないか確認しましょう。透明性のある価格体系を持つパートナーを選ぶことで、後々のトラブルを避けられます。
また複数のコンサルティングパートナーから見積もりを取得し、それらを比較検討することでコストの適正さや相場を理解できます。最安値だけでなく、提供される価値やスキルセットも考慮して選びましょう。
コストだけでなく、パートナーが提供する追加価値も考慮することがポイントです。トレーニングやアフターサポート、新たなアイデアや提案など、プロジェクトへの総合的な貢献度を評価しましょう。
AWSのコンサルティングサービスを受ける流れ
AWSのコンサルティングサービスを受ける流れは、以下の通りです。
- お問い合わせ
- ヒアリング
- 見積り・提案書の提示
- 発注
- 案件キックオフ
- 支援開始
- 納品または契約期間満了
AWSの主なコンサルティングパートナー 一覧
コンサルティングパートナーを利用する際、まずはどのようなパートナーがあるのか把握しておきましょう。ここでは、AWSの主なコンサルティングパートナーを5つご紹介します。
株式会社オープンアップITエンジニア
株式会社オープンアップITエンジニアは、サーバーやデータベース、アプリケーションなどの初期設定からシステム構築までサポートしている会社です。ゼロからの構築に加え、既存の環境のファイルストレージへの冗長保管、安価なS3の導入なども対応ができます。
テレワークツール導入サポートでは、自宅やオフィスのパソコンで対応するコールセンター環境や、 仮想デスクトップとオフィスをつなぐリモートワーク環境など、 テレワーク実現のための各種AWSツールの導入を支援しています。オペレーターが使用するパソコンとヘッドセットを用意すれば、テレワーク環境の導入を任せられます。
クラスメソッド株式会社
クラスメソッド株式会社は、AWS事業に関わるエンジニアが全員認定資格を保有している会社です。全資格保有者数やAWS トップエンジニアの在籍数が国内最多であり、今までAWSを利用したことがない方でも安心して任せられるでしょう。
コンサルティングでは、コストカットやインフラの移行など、各企業の目的に適したAWSサービスの構成方法を提供しています。自社でAWSを運用できるエンジニアを育成したい企業の要望に応えられるように、人材育成サポートのサービスも扱っています。
株式会社サーバーワークス
株式会社サーバーワークスは、コスト削減コンサルティングサービスやAWS公式トレーニングサービスなどで支援している会社です。コンサルティングサービスのほか、AWSの構築から運用までワンストップでサポートしています。
AWSトレーニング・内製化支援サービスは、豊富なAWSプロジェクトノウハウから生まれた、初級者〜中級者向けの学習支援サービスです。AWS初心者でも、トレーニングを通して自由自在にAWSを使えるようになる可能性があります。
富士ソフト株式会社
富士ソフト株式会社は、安心安全でスピーディーなAWSへの移行や、AWSを活用したビジネス変革を実現している会社です。情報系・基幹系などを問わず、IoTを含めたすべてのシステムのAWSへの導入や移行に対応できます。
AWSの構築時のコンサルティングだけではなく、運用中のコンサルティングサービスも行っています。定期的にAWS環境の分析を行ない、サーバー稼働状況を見える化して、必要に応じて早期対策を行うことが可能です。
TIS株式会社
TIS株式会社は、AWSパートナーとしての豊富な実績をもとに導入・構築・運用まで総合的にサポートしている会社です。AWSを構築する際だけではなく、データ移行する場合はまず改善するための課題分析を行います。
また、機密性の高い金融・行政分野での豊富なコンサルティング経験があります。業界・業種別のレギュレーションに準拠したデータ利活用やビジネス変革をサポートしており、各企業が保有するデータを活用した新規ビジネスやサービス提供の支援が手厚い点が特徴です。
まとめ
AWSではじめてシステム開発を行う方やセキュリティ面で不安がある方は、コンサルティングパートナーに依頼してみると良いでしょう。
AWS資格を持ったエンジニアが支援してくれるので、自社内にAWSに関する知識を持っている人材がいなくても、システム開発をはじめシステムのパフォーマンスやコストの最適化、セキュリティ対策ができます。
またAWSの技術支援を提供しているところもあり、支援してもらいながらAWSに詳しい人材を育成することも可能です。
AWSのコンサルティングサービスの利用を検討している方は、不安や疑問を解決できるような自社に合ったパートナーを見つけましょう。