販売管理システムの導入事例12選|製造業や食品卸業など企業別に紹介
販売管理システムを導入しようか迷っている方は、まず導入事例を参考にすることをおすすめします。
導入してからどのような効果が得られているか、どのような業種で導入されているか、などのポイントに着目しながら導入事例を確認すると良いでしょう。
本記事では、さまざまな企業の販売管理システムの導入事例を12選ご紹介します。
特に、自社と同じ業種の企業でどのような導入事例があるのか気になる方は、ぜひ参考にしてください。
販売管理システムとは
販売管理システムは、企業が商品やサービスの販売活動を管理するために使用するシステムです。受注管理、出荷管理、発注管理、売上管理、在庫管理などが行えます。
在庫管理では、商品や資材の在庫状況を把握でき、場合に応じて補充・発注を行います。多くのシステムでは、在庫レベルの監視や在庫の最適化も可能です。
受注処理では、顧客からの注文情報を受け取り、受注の確認や処理、納期の管理などを行います。システム上にある受注情報は、在庫管理や請求書作成などにも連携できるので、業務の効率化にもつながるでしょう。
請求書作成では、商品やサービスの販売に基づいて請求書を作成するだけではなく、顧客への送付もシステム上で行えます。販売データと顧客情報を統合することで、請求書の自動生成を実現します。
顧客管理は、氏名、連絡先、購買履歴などの顧客情報を管理することです。顧客情報を把握しておくことで、マーケティング活動やアフターサービスにも役立つでしょう。
このようにさまざまなデータを管理できる販売管理システムは、業種関わらず多数の企業で導入されています。
クラウドとオンプレミスの違い
クラウド型の場合、自社でサーバーを準備する必要がありません。オンプレミス販売管理システムよりも比較的価格が安く、導入にかかる期間も短いです。
自動でアップデートを行うものが多いので、導入や運用の負担が少ないのが特徴です。
一方でオンプレミス型の場合、サーバーを管理するための機器やライセンスなどをそろえる必要があります。そのため導入費用が高額であり、導入までに時間がかかってしまう傾向にあります。
クラウド型と違って自社でアップデートを行わなくてはいけないので、システム構築や管理に詳しくない方にとっては大きな負担となるでしょう。
ただし、買い切りタイプなので製品自体の月額料金はかからず、長期間使っていく上ではお得になる場合があります。
製造業で販売管理システムを導入するメリット
ここでは、製造業で販売管理システムを導入するメリットを3つご紹介します。
ロスタイムを削減できる
販売管理システムを導入することで、注文処理、在庫管理、出荷スケジューリングなどのプロセスが自動化されます。
手作業で行っていたこれらのタスクは時間がかかり、ミスの原因にもなりますが、システムによる自動化により、これらの業務を迅速かつ正確に処理することが可能になります。結果として、業務プロセスにおけるロスタイムが削減され、全体の生産性の向上が期待できるでしょう。
製造業において在庫は重要な要素ですが、過剰な在庫はコスト増加の原因となり、不足は生産停止を引き起こす可能性があります。販売管理システムを利用することで、リアルタイムに在庫状況を把握し、適切な在庫レベルを維持できるでしょう。
経営状況を可視化できる
販売管理システムを通じて収集されるデータは、売上、在庫、顧客情報、生産状況など多岐にわたります。これらのデータはリアルタイムで分析され、経営状況の正確な把握に役立ちます。リアルタイムの情報に基づくことで、市場の変動や需要の変化に迅速に対応し、ビジネスチャンスを逃さずに済みます。
販売管理システムにより、売上データを時間軸で分析することが可能になります。特定期間の売上高や利益率のトレンドを把握し、より効果的な販売戦略を立てられるでしょう。製品や地域ごとの売上分析を行うことで、戦略的なマーケティングやプロモーションの計画的な活用が可能です。
また販売管理システムは、在庫レベル、在庫回転率、過剰在庫や不足リスクをリアルタイムで可視化します。そのため、適切な在庫管理と製品の供給計画が可能になり、無駄な在庫コストの削減や生産計画の最適化が図れます。
生産効率が向上する
販売管理システムを導入することで、顧客からの受注情報がリアルタイムでシステムに反映されます。受注情報の手入力による時間ロスや入力ミスを削減し、生産計画への迅速な反映が可能になります。
販売管理システムによる在庫管理の自動化は、適切な在庫レベルの維持をサポートします。過剰在庫や在庫不足を防ぎながら、生産ラインの滞りなく稼働を保てるでしょう。需要予測機能を活用することで、将来の生産計画をより精度高く立てることが可能になり、無駄な生産活動を減らすことができます。
また販売管理システムは、生産スケジュールの作成と調整を自動化する機能を提供します。機械や人員の利用率を最適化し、生産キャパシティの有効活用が可能になるでしょう。
販売管理システムを選ぶ時のポイント
ここでは、販売管理システムを選ぶ時のポイントを4つご紹介します。
効率化したい業務範囲に対応しているか
導入前に、効率化を図りたい業務プロセスを明確に洗い出しましょう。具体的には、どの業務に課題があり、どのような改善が必要かを特定することがポイントです。
すべての業務プロセスを同時に改善することは現実的ではないため、改善の優先順位を設定することが重要です。最も影響力の高い業務から効率化を図ることが望ましいでしょう。
また、販売管理システムには、注文管理、在庫管理、顧客情報管理などの基本的な機能が含まれていることが一般的です。自社の業務に必要な基本機能がシステムに備わっているかを確認します。
適切な導入方法であるか
クラウドベースの販売管理システムは、インターネット経由でサービスを利用する形式です。初期投資が少なく、システムのアップデートやメンテナンスがプロバイダによって自動で行われるため、運用負担が軽減されます。
オンプレミスのシステムは、自社で物理的なサーバーを設置し運用する形式です。データの管理やセキュリティを完全に自社でコントロールできるため、高度なカスタマイズが必要な場合やセキュリティの要件が厳しい業種に適していますが、初期投資や維持管理のコストが高くなる傾向にあります。
また、システムのプロバイダが導入支援サービスを提供しているか、または認定パートナーを通じて導入のサポートが受けられるかも確認しましょう。特に、複雑なシステムの場合、導入プロジェクトの計画立案から実装、従業員へのトレーニングまで、専門的なサポートを受けることが重要です。
操作性に問題がないか
システムのインターフェースは、ユーザーが必要とする機能をすぐに見つけ、少ないクリックで目的の操作を完了できるようなものが求められます。
新しいシステムの導入にはある程度の学習が必要ですが、極端に複雑でない限り、ユーザーが短期間で操作方法を理解し使いこなせることが望ましいです。
ユーザーが自分の業務スタイルや好みに合わせてインターフェースをカスタマイズできるかどうかは、操作性を大きく向上させる要素です。たとえば、よく使う機能へのショートカットを設定できる、ダッシュボードの表示項目を変更できるなどが挙げられます。
サポート体制が充実しているか
システムの技術的な問題や障害に対応するサポート体制が整っているか確認します。特に、システムダウンや機能の不具合が発生した際には、迅速な対応が求められます。
システムのアップデートやメンテナンスに関するサポート体制があるか、そのプロセスがどのように行われるかも重要です。電話、メール、チャットサポート、オンラインフォーム、FAQやオンラインコミュニティなど、サポートセンターへの連絡手段が多様であることが望ましいです。
販売管理システムの導入事例12選を企業別に紹介
販売管理システムの導入を検討している方は、実際にどのような企業でシステムが活用されているのか導入事例を確認してみましょう。
ここでは、販売管理システムの導入事例を企業別にご紹介するので、自社と同じ業種の企業での導入事例を確認したい方はぜひ参考にしてください。
製造・メーカー
ここでは、製造・メーカーの販売管理システムの導入事例を2つご紹介します。
ミナモト電機株式会社
ミナモト電機株式会社は、昭和39年創業の工業用電熱機械器具の専門メーカーです。事業を拡大しながら、さまざまなニーズに対応するためにシステムや製品を開発しています。
販売管理システムを導入する前の課題は、細かい改修で発生する費用を削減したい、表記のブレやミスなどなくしたい、過去データをインポートする際に大量発生する修正作業を削減したい、などです。
販売管理システムを使用する前は、マスタデータがないExcelでの管理を行っていました。集計や分析もできないので、経営戦略が立てづらい状況だったと考えられます。
販売管理システムを導入してからは、項目の追加などの改修を自身でできるようになりました。表記の揺れやブレなどを自動で修正してくれるので、書類の作成や送付などをスムーズに完了するようになりました。
ヤマトフーズ株式会社
ヤマトフーズ株式会社は、地域資源を生かした商品の企画や販売を全国展開している企業です。事業規模の拡大にともなって、スムーズな情報共有や業務の効率化を図るために販売管理システムを導入しました。
販売管理システムを導入する前は、売り上げ実績や見積書を企業全体で共有したい、メールやFAXを使った発注業務を効率化したい、事務スタッフの業務の負担を軽減したい、などの課題がありました。
過去には、事務員の退職がきっかけで急遽事務業務を兼務することになったケースがあります。以前使っていたシステムはデータの検索や集計作業に手間と時間がかかってしまうので、なかなか本業に時間を費やせなかったこともありました。
販売管理システムを導入してからは、どこからでもアクセスできるようになり、本社への問い合わせが減少しました。売り上げ実績などをスムーズに共有できるように、まとめ発注や検索機能などにより業務負担の軽減にもつながっています。
卸売
ここでは、卸売業の販売管理システムの導入事例を2つご紹介します。
シネジック株式会社
シネジック株式会社は、宮城県に本社を構え木造建築用ねじのコンサルタント事業を行っている企業です。事務業務を自動処理できるようにして本業を発揮するために、販売管理システムを導入しました。
販売管理システムを導入する前は、事務作業を自動化したい、本業に注力できる環境を整えたい、基幹系システムと各種システムを連携させたい、などの課題がありました。
導入してからは、事務業務の改善で本業に費やせる時間を増やせました。日報を企業全体で共有できるようになり、社員の参画意欲の向上にもつながっています。
20年以上も販売管理システムを愛用しており、企業の規模や業務内容に応じてバージョンアップもしています。
株式会社イデムインターナショナル
株式会社イデムインターナショナルは、婦人服ブランドを全国の直営店や百貨店で展開している企業です。多数の店舗での売り上げを管理するために、販売管理システムを導入しています。
販売管理システムを導入する前は、売り上げ管理をデジタル化したい、各店舗の売り上げや経営状況をリアルタイムで確認したい、正確な在庫管理をできるようにしたい、などの課題がありました。
システムを導入してからは、ペーパーレス化と業務の効率化を実現し、在庫管理の適正化につながりました。伝票の作成が不要になったので、商品の検品作業に充てられる時間が増加したメリットもあります。
システムを導入する際には、アパレル業向けの販売管理システムを選んでいます。
食品
ここでは、食品業の販売管理システムの導入事例を2つご紹介します。
クラウン製パン株式会社
クラウン製パン株式会社は、北九州を中心に給食事業を拡大している企業です。毎日数万食のパンを受注しているクラウン製パン株式会社では、頻雑な受注管理が問題となっていました。
販売管理システムを導入する前は、手作業や転記作業を減らしたい、データのインポートやエクスポートができるシステムを導入したい、納品書や請求書への押印などの生産性の低い業務を削減したい、などの課題がありました。
システムを導入してからは、受注データを一括取り込みできるようになり、2人がかりで8時間かかっていた作業を30分でできるようになっています。
また今までは毎日5,000枚を手書きで作成した配送ラベルは、一気にデータ出力できるようになり手作業で行う必要がなくなりました。
株式会社パンフォーユー
株式会社パンフォーユーは、冷凍パンのサブスクリプションサービスや福利厚生サービスを提供している企業です。「新しいパン経済圏を作り、地域経済に貢献する」をミッションに、パン業界の拡大に努めています。
販売管理システムを導入する前は、受注書などをスプレットシートで作成し手間やミスなどが発生していた、取引先の情報が複数箇所に散在していた、請求書などを個人のGmailから送付していた、などの課題がありました。
システムを導入してからは、発注情報から帳票作成~送付までを自動化できるようになっています。取引先に関する情報をシステム上で管理できるようになり、請求書などの作成〜送付までを一括で行えるようにもなりました。
その結果、1か月あたり27.5時間の作業時間の削減にもつながっています。残業時間も1か月10時間ほど削減できたことから、従業員の意欲向上にもつながったでしょう。
IT・情報サービス
ここでは、IT・情報サービス業の販売管理システムの導入事例を2つご紹介します。
株式会社ラクス
株式会社ラクスは、中小企業向けのクラウドサービスを提供している企業です。サブスクリプションモデルのビジネスとして売上を伸ばしており、全サービスの受注処理や請求処理が必須でした。
販売管理システムを導入する前は、サブスクリプションモデルで請求金額の計算に手間取っていた、転記作業が多い、紙の申込書で紛失や対応漏れが起こっていた、などの課題がありました。
システムを導入してからは、複雑な計算をシステム上で自動的に行えるようになり、受注処理や請求処理を簡単にできるようになっています。その結果、受注処置にかかる時間は3分の1までに短縮されました。
株式会社クレディセゾン
株式会社クレディセゾンは、クレジットカードを基盤とした事業を幅広く展開している企業です。1951年に設立されてから、現在ではクレジットカードの総会員数が3,600万人以上、法人カード発行先が5万社以上に上っています。
販売管理システムを導入する前は、1か月あたり約700枚の請求書を紙で作成しており、手間やコストがかかっていました。請求書を発行するには押印が必要だったので、担当者が不在の場合はフローが滞ってしまうこともありました。
システムを導入してからは、請求書の作成から送付・控えまでシステム上で行えるようになっています。その結果、作業時間は月約271.9時間の削減、コストは月約70万円の削減につながりました。
医療・福祉
ここでは、医療・福祉の販売管理システムの導入事例を2つご紹介します。
アルジョ・ジャパン株式会社
アルジョ・ジャパン株式会社は、医療・介護施設向けに機器販売やアフターサービスなどを行っている企業です。スタッフは世界中に6,500人以上おり、企業規模が大きいと考えられます。
販売管理システムを導入する前は、Excelを使った見積書作成が非効率だった、PCから出ないと事務作業ができなかった、など業務の環境状況の改善が必要でした。扱うデータがExcelごとに管理されていたので、どのデータがどのExcelにあるのか把握しておかなければいけませんでした。
システムを導入してからは、見積書の作成から提出までを滞らせることなくスムーズに行えるようになっています。その結果、作業時間が平均3分の1になり、事務スタッフの負担軽減につながっています。
株式会社ギムニク
株式会社ギムニクは、イタリア製のバランスボールを販売している企業です。
販売管理システムを導入する前は、Excelで管理している船便の積送品在庫管理の手間を削減したい、取引先からの問い合わせに迅速に対応できるようにしたい、などの課題がありました。
システムを導入してからは、船便の積送品在庫管理をシステム上で行えるようになりました。Excelでの手入力が必要なくなったので、他の業務に専念できるようになっています。商品と船便の積送品在庫の自動紐付けが可能になり、入力ミスや発注ミスなどの減少にもつながっています。
住宅設備・施工
ここでは、住宅設備・施工の販売管理システムの導入事例を2つご紹介します。
株式会社ファム
株式会社ファムは、1983年創業の立体駐車場のメンテナンスや開発、製造、リニューアルなどを行っている企業です。
販売管理システムを導入する前は、取引先や協力会社などのメール連絡を毎月100件以上受信しており、漏れや見落としが発生していました。Excelや基幹システムでの管理により、作業や管理が非効率であったことが課題とされています。
システムを導入してからは、過去のデータからメールを自動作成できたり、リマインド機能の活用で漏れや見落としを防止できたりとさまざまなメリットが得られています。
その結果、メールの作成にかかる時間や手間を大幅に削減できるようになりました。部署を超えて行っていた事務作業は、特定の部署内で完結するようになっています。
株式会社河本総合防災
株式会社河本総合防災は、防災設備の設計施工や消防設備の点検、防災用品の販売を行っている企業です。販売・会計業務の効率向上を目指して、販売管理システムを導入しました。
販売管理システムを導入する前は、生産性をアップさせたい、申請や承認作業を効率化したい、などの課題がありました。
システムを導入してからは、受注・入金処理・売上計上などの業務を短縮できるようになり、1日2時間〜3時間かかっていた作業を1日1時間ほどに抑えられています。申請や承認をシステム上で行えるようになったので、決裁までスムーズに進行が可能です。
まとめ
販売管理システムは、さまざまな業種の企業で導入されています。
導入したことによって、書類作成や処理などにかける時間を大幅に短縮できたり、情報共有のしやすさから従業員の参画意欲が高まったりとさまざまなメリットを得たところが多数あります。
現在企業を経営する上で、手作業が多く残業している社員がたくさんいる、本業にかける時間が少ないなどの課題で悩んでいる方は、ぜひ販売管理システムを導入してみてはいかがでしょうか。
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