販売管理システムとは?機能一覧や作り方を徹底解説
販売管理システムの導入を検討するものの、どうやって導入するのか、どの種類を選べば良いのかわからない方がいるのではないでしょうか。
販売管理システムを導入する前に、まずは種類や機能、作り方を把握しておきましょう。
そこで本記事では、販売管理システムとは何なのか、販売管理システムの主な4種類、利用できる機能、システムを自分で作る場合の導入方法などをご紹介します。
また記事終盤では、販売管理システムを導入するメリットと注意点をお伝えするので、はじめて導入する方はぜひ参考にしてください。
目次
販売管理システムとは?
販売管理システムとは、顧客から注文を受けた際に商品を納品するまでの流れを管理するシステムです。お金や商品の流れを把握できるので、在庫を扱う企業は必須ツールといえるでしょう。
販売管理システムが普及する前までは、用紙やExcelなどを使って管理することが一般的でした。そのため、数字を入力する際にミスをしてしまう、データ処理や集計に時間がかかってしまう、などのデメリットがありました。
しかし販売管理システムを導入することでこれらの課題が解決できるようになり、さまざまなジャンルの企業で導入されるようになっています。
販売管理システムは主に4種類
販売管理システムは、主に4種類あります。どの種類を導入すれば良いかわからない方は、まず各種類の特徴を把握しておきましょう。
汎用型
販売管理システムの多くが汎用型であり、業種に関わらず幅広い業務に対応している点が特徴です。
売上管理機能が基本的な機能として備えられているものが多く、比較的安い価格で提供されているところがほとんどです。自社に合った機能を備えながらも、コスト重視の方に適しています。
またシステムを導入してからは、その都度必要な機能を追加することもできます。長期間システムを導入して利用していきたい場合には、汎用型が無難でしょう。
ただし、業種特有の業務には対応できないケースがあるので、どの業種にとっても便利であるとは言い切れません。
業種特化型
業種特化型は、業種ごとに必要とされている機能がパッケージ化されている販売管理システムです。
セミオーダー形式で導入できるので、導入期間がとても短いです。急いで販売管理システムを導入しなくてはいけない方に適しています。
企業によって業務や必要な機能は異なりますが、必要な機能のみを完全オーダーメイドで取り入れようとすると、時間だけではなく費用もかかってしまいます。業務特化型は事前にパッケージ化されているので、時間も費用も削減できます。
特定業種型
特定業種型は、各企業の特殊業務にも対応できる販売管理システムです。
先ほどご紹介した業種特化型では物足りない方におすすめであり、パッケージ化された機能のほかに細かい設定ができます。
ただし、細かい部分まで設定できる分、導入期間が長い傾向にあります。特定業種型の販売管理システムの導入を検討している方は、完全導入までの期間に余裕を持つことが大切です。
小規模向け
小規模向けの販売管理システムは、在庫管理を必要としない企業におすすめです。
近年では、Webサービスを介したビジネスや、在庫管理を必要とする商品を扱わないビジネスなどをはじめる企業が増えています。小規模向けのシステムであれば、最低限必要な機能を備えたシステムの導入を実現できます。
またその他のタイプと比べて備えられている機能が少ないので、比較的安価で利用できる点がメリットです。特に、スタートアップ企業や資金が少ない企業に適しています。
ただし機能が限られているので、企業が成長するとともに物足りなさを感じる恐れがあるでしょう。
販売管理システムの機能一覧
販売管理システムの一般的な機能は、主に販売管理機能、在庫管理機能、購買管理機能の3つに分けられます。
販売管理機能では、見積管理や受注管理、売上管理などができます。
見積書を作成したり受注入力を行ったりするだけではなく、今までの見積や受注履歴を検索して探すことも可能です。中には、受注と発注を同時にできるものもあります。
在庫管理機能では、出荷管理や入荷管理、棚卸に関する機能の利用が可能です。出荷や入荷に関する情報を自社内や、自社と取引先間で共有しやすいので、在庫を管理する上でのデータ入力ミスなどを防げるでしょう。
購買管理機能では、発注管理や仕入れ管理、支払管理などができます。ただ発注や仕入れを行うだけではなく、発注書の作成や仕入れスケジュールの管理も並行して行えます。
そのほか、納期管理機能、ハンディターミナル連携機能、個別案件管理機能、輸出入管理機能、トレーサビリティー機能などのさまざまな機能をオプションで追加することも可能です。
販売管理システムを導入するメリット3つ
販売管理システムを導入する前に、メリットを把握しておきましょう。ここでは、販売管理システムを導入するメリットを3つご紹介します。
業務の効率化
販売管理システムの活用で、データの処理時間を短縮できたり、複雑な計算を正確にできたりと、業務の効率化が図れます。
部署ごとの管理方法を統一させることで、管理方法のばらつきをなくしてスムーズに情報共有ができるようになるでしょう。
また業務に関わることすべてをシステムから確認できるので、納品漏れや重複発注、支払漏れなどのミスを少しでも減らすことができます。見積書や受注書の自動作成を取り入れるだけで、誤字脱字や作業負担を少しでも軽減できるでしょう。
コスト削減
販売管理システムを導入すると、データ入力や管理を行う人材を新たに雇う必要がなくなるので、人件費のカットが実現できます。結果的に、大幅なコスト削減につながるでしょう。
クラウド販売管理システムの場合は、初期費用がかからなかったり、ランニングコストを削減できたりするので、コスト重視の方におすすめです。特に小規模企業向けの場合は、不要な機能を除いて最低限のコストで導入できます。
経営する上で便利
販売管理システムでは販売データを全て管理できるので、データ分析を行って戦略を立てたり経営判断で活かしたりなど経営する上でとても便利です。
在庫数などが変更した際には、リアルタイムでデータ処理を行えるので、24時間365日データ共有ができます。
また顧客販売システムによっては、売上レポートの作成が可能です。商品や店舗の売れ行きを確認できるので、もっと商品を発注すべきかや商品を改良すべきか、などの改善点が見つかりやすいです。
発注数の見直しや過剰在庫を防ぐことで、結果的に企業全体のコスト削減にもつながります。
販売管理システムを導入する際の注意点2つ
販売管理システムを導入する際には、メリットだけではなく注意点も把握しておきましょう。ここでは、販売管理システムを導入する際の注意点を2つご紹介します。
慣れるまでに時間がかかる
販売管理システムに関わらず、新たにシステムを導入する際には、慣れるまでに時間がかかってしまうケースが多いです。使いにくいシステムを導入した場合には、余計に時間がかかってしまいます。
慣れるまでの時間を少しでも短縮させるには、操作性に優れているものを選んだり、導入する前にチュートリアルや動画などで操作方法を学んだりすると良いでしょう。
導入コストが高い
オンプレミス型販売管理システムの場合、クラウド型よりもコストがかかってしまいます。
先ほどメリットの部分でコストを削減できるとご紹介しましたが、システムの内容や機能性によっては導入費用が数百万円〜数千万円ほどかかることもあるので把握しておきましょう。
販売管理システムの作り方
販売管理システムを導入する際は、自社で作るのか、外部に作成を依頼するのかを決める必要があります。導入方法によって導入までの時間やコストなどが異なるので、自社に合った導入方法を選びましょう。
ここでは、販売管理システムの作り方を3つご紹介します。
Excel・Accessを使った場合
Excel・Accessを使った販売管理システムの作り方は、以下の通りです。
- テンプレートをダウンロードする
- 項目をカスタマイズする
販売管理システムを一から作成するのは時間がかかるので、テンプレートの活用がおすすめです。販売管理システムのテンプレートには、Microsoft officeの公式テンプレートやbizoceanの書式テンプレート集、Hubspotの無料ビジネステンプレートなどがあります。
基本的に無料でテンプレートをダウンロードできますが、機能性を拡張したい場合は費用がかかるケースがあるので注意しましょう。
テンプレートをダウンロードしてからは、既存の項目をカスタマイズして変更します。ExcelやAccessを使ったことがある方や使い慣れている方におすすめの作り方であり、ExcelやAccessに慣れていない方には不向きでしょう。
ExcelやAccessを使うケースは、関係者が増えてきたり、経年により管理が煩雑になったり、業務に対応する事が出来なくなることが多いため、システム開発依頼する事を見据えておくことも必要になります。
Claris FileMaker Proを使った場合
FileMaker Proとは、ノーコードからローコード、プロコードまでの機能を備えた開発ツールです。非エンジニアから、プロまで幅広いスキルの人が利用できる対応範囲の広さからプロの開発者にも支持されているのが特徴です。
Claris FileMaker Proを使った販売管理システムの作り方は、以下の通りです。
- テーブル・レイアウトを作成する
- フィールドの作成と設定を行う
- レコードを作成する
- リレーションシップを作成する
Starter一覧にあるテンプレートの中に利用できそうなものがない場合は、左上にある「新規」をクリックしてレイアウトを作成します。「データベースの管理」をクリックすると、テーブル作成の画面に移ります。
テーブルを作成したら、フォールドを作成しましょう。「フィールド」をクリックして、フィールド名とタイプを入力します。画面右下にある「オプション」をクリックすると、さらに細かい設定が可能です。
フィールドの作成と設定ができたら、作成したレイアウトを開いて「新規レコード」をクリックします。必要な項目を入力したら、一つのテーブルとして作成が完了です。
最後に、別のテーブルと関連づける工程であるリレーションシップを行って終了です。
外注依頼をする場合
ここまでお伝えしてきたExcelとAccessを用いた方法か、Claris FileMaker Proを用いた方法での自作が難しい場合、販売管理システムを外注することがおすすめです。
既存の販売管理システムを導入することで、無駄のない高品質な管理ができるでしょう。近年は、クラウド型の販売管理システムも増加しています。クラウド型の販売管理システムを選択することで、費用を抑えて導入することが可能です。
おすすめ販売管理システム10選
販売管理システムを導入したいとき、ソフトウェアやサービスなどを利用して簡単に導入する方法があります。
ここでは、無料で使える販売管理システムとクラウド上で利用できる販売管理システムをご紹介します。
無料で使える販売管理システム5つ
数ある販売管理システムから、無料で利用できるものを5つご紹介します。
フリーウェイ販売管理
フリーウェイ販売管理は、1,000伝票まで・3人のデータ共有まで無料で利用できる販売管理システムです。取引先の数が少なかったり、従業員の人数が少なかったりする場合におすすめです。
操作画面はシンプルで直感的に使えるため、今まで販売管理システムを使ったことがない方でもスムーズに使えるようになるでしょう。操作だけではなく設定も短時間で済むので、導入できるまでに時間がかかりません。
また、無料で利用できるシステムですが、売上から請求、入金業務まで対応できます。売上順位表や売上伸び率順位表、売上分析表などの分析機能も備わっており、管理者が知りたい情報を瞬時に表示が可能です。
Main販売管理
Main販売管理は、従業員の人数が10人以下なら30日間無料で利用できる販売管理システムです。小規模の法人事業や個人事業主に適しています。
無料期間を活用して利用する際、クレジットカードを登録する必要がないため、無料期間終了後に自動的に料金が発生するのを避けられます。ベーシックプランなら月額980円〜とリーズナブルなので、サービスを継続するときのハードルが低いでしょう。
またインボイス制度にも対応しているので、会計に関する制度が追加されたり変更されたりしても、柔軟に対応してくれるといえます。
売上仕入在庫管理システム
売上仕入在庫管理システムは、標準装備された機能を無料で利用できる販売管理システムです。ソフトをダウンロードするだけで利用できるため、導入期間を短縮したい方におすすめです。
顧客や商品などの情報を伝票画面から直接登録できるため、事前にマスタ登録をする必要がありません。その結果、効率的に取引先や商品情報などを管理できるようになるでしょう。
また応対履歴を商品別や顧客別に管理でき、自社が選択した顧客に向けて一括メール送信が可能です。納品書や請求書などをPDF出力して、添付ファイルとしてメール送信する際に役立ちます。
セールスノート
セールスノートは、基本機能すべてを無料で使える販売管理システムです。無料で利用できるユーザー数は1人までと限定されているため、個人事業主におすすめです。
在庫・発注管理と連携させられるため、棚卸し業務の効率化が期待できるでしょう。ただし、オプション機能を追加できないため、利用ユーザー数を増やしたい場合やカスタムテンプレートを利用したい場合は、プラスやPROにグレードアップできます。
汎用販売管理ソフトCOSMOS
汎用販売管理ソフトCOSMOSは、無料でありながらスムーズかつ戦略的に活用できる販売管理システムです。WindowsやMac関係なくどちらでも利用できます。
複数税率やインボイス制度などに対応していることから、これから制度の変更による柔軟な対応ができると考えられます。マスタ登録では、支店や担当者、取引先、商品分類、商品ごとに情報を振り分けられます。
またメールや短時間の電話での導入相談は無料でできるため、導入方法に迷っても気軽に相談できるでしょう。遠隔操作や現地での操作デモによる導入相談などは、オプション料金を追加すれば利用できます。
クラウド型の販売管理システム5つ
数ある販売管理システムから、クラウド上で使えるものを5つご紹介します。
楽楽販売
楽楽販売は、クラウド上の販売管理により1か月にかかる時間を10分の1、1か月にかかる費用を5分の1まで削減できる可能性がある販売管理システムです。
請求書などの帳票を自動発行したり、データのステータス自動変更、アラートメールなどの機能で業務を自動化したりできる機能が備わっています。効率化の向上だけではなく、人的ミスの削減にもつながるでしょう。
またクラウド上でシステムを管理するため、スマホや外出先からの操作ができます。リアルタイムで情報が反映されるため、その都度必要な情報をその場で共有・チェックが可能です。
クラウドERP ZAC
クラウドERP ZACは、導入企業900社を超えるクラウド型の販売管理システムです。無料デモに申し込めるので、導入方法がわからない方や今までに販売管理システムを使ったことがない方でも、安心して利用できるでしょう。
IT導入補助金の対象となっており、平均採択率は91%と高いです。初期費用10万円〜とほかの販売管理システムと比べると高額であるため、導入費用を抑えたい方はぜひIT導入補助金の活用を検討してみると良いでしょう。
GrowOne 販売情報システム
GrowOne 販売情報システムは、インボイス制度や電子帳簿保存法に対応している販売管理システムです。特に卸売業の販売業務に特化したサービスであり、在庫切れなどの情報を1クリックで表示できます。
セミオーダー開発でシステムを導入できるため、各業種に合わせて独自の機能を取り入れながら導入が可能です。さらに商品ごとに標準税率や軽減税率、不課税、非課税の設定ができるため、制度の変更に応じて柔軟に対応できます。
Reforma PSA
Reforma PSAは、企業の成長に合わせて必要な機能を追加して、費用の最適化が期待できる販売管理システムです。ライセンス数に応じて費用が変動するため、小規模企業や個人事業主にとって費用を最小限に抑えられるでしょう。
公式サイトでは、事前に利用料金をシミュレーションして見積もることができます。初期費用はかからずランニングコストのみであるため、導入する際のハードルが下がるでしょう。
弥生販売ネットワーク
弥生販売ネットワークは、入力したデータを一元管理できる販売管理システムです。入力したデータはリアルタイムで瞬時に反映されるため、確認漏れや共有遅れなどを防げます。
さまざまな機能をオールインパッケージとして導入でき、必要な機能を一つひとつ追加する手間が省けるでしょう。導入期間を短縮したい場合や、少しでも導入期間を早めたい場合におすすめです。
まとめ
販売管理システムは、商品の在庫や売上、受注、発注など販売に関わることを管理できるシステムです。
システムを導入することで、業務の効率化や人件費の削減、ミス削減などの経営を行う上でさまざまなメリットが期待できます。
さらに商品の在庫を持たない企業でも、在庫管理を除いた小規模向けの販売管理システムの導入が可能です。
販売管理システムを導入する際には、ExcelやAccess、Claris FileMaker Pro、外部依頼を用いた方法から自社に合った導入方法を選びましょう。
少しでも販売管理に関わる業務負担を軽減したい方は、販売管理システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。