システム開発を依頼する時の流れとは?費用の相場や依頼先を選ぶ時のポイント
システム開発を検討している方の中には、外部に依頼しようか考えている方がいるのではないでしょうか。
特に社内にエンジニアやプログラマーがいない場合は、外部への依頼がおすすめです。
とはいえ中には、「システム開発を依頼するときの流れを把握しておきたい」「依頼にかかる費用はどれくらい」という方もいるでしょう。
本記事では、システム開発を依頼するときの流れや依頼にかかる費用を紹介します。
そのほか、システム開発を依頼するメリットや依頼するときのポイントもお伝えするので、今までシステム開発すらやったことがない方はぜひ参考にしてください。
目次
システム開発を依頼する時の流れ
システム開発を依頼するときは、どのような流れで工程を進めるのか把握しておくことをおすすめします。流れを把握しておくことで、スムーズにやり取りを進められるでしょう。
ここでは、システム開発を依頼する時の流れを6つのステップに分けて紹介します。
ステップ1.依頼書(RFP)を作成する
まずは、システム開発の提案依頼書を作成します。Repuest for Proposalの略称でRFPと呼ぶこともあるので覚えておきましょう。
そもそも提案依頼書とは、システムに求める要件やスケジュールなどを記載して開発会社に提出するものです。提案依頼書をもとに、開発会社からより良い提案をもらえる可能性があります。
また口頭で要件などを伝えるよりも、書面に文字として記載しておくことで双方のすれ違いを防げます。曖昧な言葉や表現を用いないように、しっかり中身を明確にしてから依頼することが大切です。
ステップ2.要求定義と要件定義を行う
要求定義とは、システムに対してどのような機能が必要であるかを明確にすることです。要求定義は、先ほど説明した依頼書の作成時に行うと良いでしょう。
要件定義とは、要求定義をもとに具体的に必要なものなどを開発側が取りまとめることです。発注側の要求を聞いて、果たしてその要求に対し確実に応えられるか、要求を取り入れるには具体的にどのようなことをすべきか、などを考えていきます。
その結果、システムに取り入れるべき機能や要素、予算、人数、開発期間などが明確になってくるでしょう。
この要求定義や要件定義では、双方が納得がいくまで長引くケースがあります。その一方でこの工程に力を入れておけば、設計から開発完了までスムーズに進められる可能性が高まるでしょう。
ステップ3.設計を行う
次に、外部設計と内部設計を行います。
外部設計とは、ユーザー側の操作画面や操作方法などを設計するものです。一般ユーザー向けのシステムを開発する際、この外部設計次第で使いやすさが大きく異なります。
内部設計とは、システム内の機能やデータなど細かい部分を設計するものです。ユーザー側の立場で設定する外部設計とは違い、内部設計ではエンジニアにとってメンテナンスやプログラミングのしやすさが重視されています。
ステップ4.システムを構築する
設計が完了したら、システムを本格的に構築します。
システム構築では、内部設計をもとにプログラミングやコーディングを進めていきます。システムの構造によって異なりますが、パーツごとにプログラミングをして最後に合体させることで一つのシステムとして作動できるケースがほとんどです。
ステップ5.テストを実施する
システムの構築が完了したら、テストを実施します。テストでは、単体テスト・結合テスト・総合テスト・運用テストの主に4つのテストが実施されます。
まずはじめに実施する単体テストは、パーツごとにプログラミングしたシステムがそれぞれ作動するのかを確認するテストです。
各システムが正しく作動したら、次に結合テストを行います。結合テストは、分割して構築したシステムを組み合わせて、一つのシステムとして正しく作動するのかを確認するテストです。
総合テストでは、システムが正しく作動した上で、要件定義の通り動くのかを確認します。要件定義を満たせていることを確認できたら、不具合が起こらないか運用テストを実施します。
ステップ6.納品する
テストで異常が見られなければ、システムの納品が可能です。
発注側では、実際に現場でシステムを稼働できるよう環境を整えておくことが大切です。もし、システム環境に問題があれば、受注側に報告すると良いでしょう。
またシステムの納品後、常に正しく稼働しているか、セキュリティ面に問題がないかなど、監視する必要があります。システム開発だけではなく、運用や保守なども依頼したい場合には、追加で費用がかかるので相談しておきましょう。
システム開発の依頼にかかる費用
システム開発を依頼するときには、あらかじめ依頼費用を確認しておきましょう。ただし、開発するシステムの種類によって費用が大幅に異なります。
システム開発の大半が人件費です。プログラマは一人あたり50万円〜110万円、システムエンジニアは一人あたり60万円〜160万円が相場であり、企業規模やスキルレベルによって大きく異なります。
ここでは、基幹システム・業務支援システム・Webシステムの3種類のシステムの開発費用を紹介します。
基幹システムの場合
基幹システムとは、企業や組織が業務を行う上で必要なシステムを指します。具体的には、販売管理や生産管理、人事管理、財務会計などがあります。
基幹システムの開発費用は、500万円〜が相場です。
業務支援システムの場合
業務支援システムとは、企業や組織の業務をサポートするためのシステムを指します。
活用例としては、オフィスワークなどの業務効率化や情報共有が挙げられるでしょう。具体的には、マーケティング、営業支援、顧客管理、セキュリティ管理などがあります。
業務支援システムの開発費用は、100万円~400万円が相場です。
Webシステムの場合
Webシステムとは、Webブラウザ上で作動するシステムを指します。具体的には、ECサイト、マッチングシステム、予約システムなどがあり、幅広い企業でWebシステムが導入されています。
Webシステムの開発費用は、100万円〜400万円が相場です。
システム開発を依頼するメリット3つ
システム開発を依頼しようか迷っている方は、依頼することでどのようなメリットが得られるのか確認してみましょう。
ここでは、システム開発を依頼するメリットを3つ紹介します。
社内にエンジニアがいなくても開発できる
社内にプログラミングやコーディングの経験者がいなくても、依頼することで要望に合わせてシステムを開発してもらえます。
また社員を育成する手間や、新たに優秀な人材を雇う必要もありません。
エンジニアやプログラマーを新たに雇う場合、外部に依頼するよりも人件費が高くなる可能性があります。すると結果的に依頼費用を削減でき、予算内におさえられたり、余った予算で機能性を高められたりできるでしょう。
開発にかかる時間を省ける
システム開発の工程を外部に依頼することで、自社がシステム開発にかける時間を大幅に削減できます。システム開発を行うための人材探しなどの時間も省けます。
発注側がシステム開発に携わる時間は、開発依頼書の作成時や要件定義の確認などを行うための会議や打ち合わせなどです。
システム開発にかかる時間を省くことができれば、そのほかの業務にかける時間を増やせたり、残業を減らせたりとさまざまなメリットにつながります。
スケジュール通りに開発を進められる
システム開発代行会社に依頼することで、システム開発完了までのスケジュールを事前に確認できます。
数々のシステム開発の代行を請け負ってきた会社は、どれくらいの期間で開発が完了するのか、過去の事例からスケジュールを明確にできるところが多いです。
またいつまでに稼働開始したいのか要望に合わせ、スケジュールを組んでもらうこともできます。
ただし、システム開発を行う中で不具合が起こったり、双方のすれ違いなどがあった場合には、システム開発をし直さなければいけないケースがあるので注意しましょう。
システム開発を依頼する時のポイント5つ
システム開発を依頼するときには、流れを把握しておくだけではなく、ポイントも押さえておきましょう。
ここでは、システム開発を依頼するときのポイントを5つ紹介します。
作りたいものを明確にしておく
システム開発を依頼する前に、どのようなシステムをつくりたいのか明確にしておきましょう。
どのようなものをつくりたいのか不透明なままでは、受注側にとっても費用やスケジュールを明確にできないという不便な面があります。
またつくりたいものを明確に説明できなければ、双方のすれ違いが発生しシステム開発が失敗する恐れがあるので注意しましょう。
つくりたいものを明確にするためには、社内で何度も会議を繰り返し行い、充実した内容の依頼書を作成することが大切です。
相性を見極める
システム開発を依頼する会社を選ぶ際、相性の良さを見極めることがポイントです。
ここでいう相性の良い会社とは、自社で開発したいシステムを要望通り開発してくれるところを指します。
相性の良い会社を見分ける際、今までの開発実績を確認しましょう。希望するシステムの開発経験がある会社に依頼することで、開発完了までスムーズにやり取りできるメリットがあります。
また開発実績が豊富であれば、より精度の高いシステムを開発できる可能性があるでしょう。
そのほか、丁寧に対応してくれるのか、優秀な人材が在籍しているのかを確認して、相性の良い会社を見つけてください。
ただし、開発実績の内容や実績数など、すべての情報を公式サイトに掲載しているとは限りません。非公開の実績があることを理解した上で、システム開発実績の有無を確認しましょう。
予算内におさえる
システム開発の依頼先を決める際、予算内におさまるか確認しましょう。
開発内容が同じでも、会社によって依頼費用が異なります。もちろんですが、優秀な人材が多く携わる開発は、依頼費用が高くなる傾向にあります。
またシステム開発が完了したあとは、運用や保守にコストがかかってしまうでしょう。そのため運用や保守にかかるコストを加味した上で、開発にかける予算を決めることがポイントです。
ただし、システム開発にかけるコストを安く抑えられたとしても、費用対効果が見込めない恐れがあります。そのため、機能性やセキュリティ対策を怠らない範囲でコスト削減に努めましょう。
締結前に契約内容を入念に確認する
システム開発の依頼を契約する前に、契約内容を入念に確認しましょう。
契約を締結する前には、何度も開発内容や費用などを変更してもらえます。正式に契約してから変更点があっても、変更手数料やキャンセル料が生じたりするケースがあります。
また契約内容を確認する際には、責任者や担当者はもちろん、複数の社員で確認しましょう。
複数の会社に見積もりを依頼する
システム開発を正式に依頼する会社を決める際、複数の会社に見積もりを依頼すると、自社に合った会社を見つけられるでしょう。
見積もりを依頼する会社は、3社〜5社がおすすめです。見積もり結果を、費用や対応可能範囲、スケジュールなど項目ごとに比較してください。
費用の安さを重視したいなど、あらかじめ社内での優先順位を決めておくと、依頼先の決定がスムーズにいくでしょう。
まとめ
システム開発を依頼する際、スムーズに工程を進めるために、あらかじめ流れや順番を確認しておきましょう。
外部にシステム開発を依頼すると、開発を頼める人材が社内にいない場合でもシステムを進められたり、開発にかかる時間を短縮できたりと、さまざまなメリットが得られます。
またシステム開発の実績があるプロに任せることで、開発完了までのスケジュールを明確にできるので、いつ公開できるのか日程を決めやすくなります。
ただし、開発するシステムの種類によって依頼費用が異なります。
これからシステム開発の依頼を検討している方は、本記事で紹介したあらかじめつくりたいものを明確にしておく、複数の会社に見積もりを依頼する、などのポイントを踏まえておきましょう。