AWSの導入の流れを6つの手順に分けて解説|導入するときに注意すべきこととは?
AWS(Amazon Web Services)の利用を検討している方の中には、「どうやって導入すればいいのかわからない」という方もいるのではないでしょうか。
AWSを導入する前に流れや手順を把握しておくと、少しでもスムーズに導入を進められます。
本記事では、AWSを導入する流れを6つの手順に分けて紹介します。
そのほか、AWSを導入するメリットや導入するときの注意点などもお伝えするので、AWSの導入で失敗しないためにもぜひ参考にしてください。
目次
AWSの導入やサーバー構築の流れ|6つの手順
AWSを導入する際には、事前に流れや手順を把握しておくことがおすすめです。AWSを導入する大まかな流れを知っておくと、スムーズに導入を進められるでしょう。
ここでは、AWSを導入する流れやサーバー構築する手順を紹介します。
手順1.AWSアカウントを作成する
まずは、AWSアカウントを作成する必要があります。こちらにアクセスしてメールアドレスを送信すると、アカウントの作成が可能です。
アカウント情報を入力したあと、支払い情報や連絡先などを入力します。SMSまたは自動音声電話での認証に進み、AWSのサポートプランを選んで完了です。
AWSアカウントを作成したら、サインアップします。
またAWSを導入する前に、AWSが提供しているチュートリアルで体験しておくと良いでしょう。あらかじめAWSの操作方法を把握しておくと、本番で失敗するのを防げます。
手順2.VPCを作成する
AWSにサインアップしたら、VPCを作成しましょう。
そもそもVPCとは、従来のネットワークと似ている仮想プライベートネットワーク環境を作成できるサービスです。VPCでしか利用できないAWSのサービスがあり、VPCならではのメリットがあります。
AWS上でサーバーを構築する際には、まず土台となるVPCを作成しなければいけません。ほかのネットワークとは遮断されておりセキュリティ精度が高いといえますが、設定を行えばインターネットやオンプレミス環境との通信ができます。
手順3.サブネットを作成する
VPCを作成したら、サブネットを作成する必要があります。
サブネットとは、VPC内のIPアドレス範囲の一部です。AWSリソースが配置される場所を定義するために必要なものであり、高可用性と耐久性を確保できるメリットがあります。
またサブネットでは、セキュリティグループとネットワークACLを適用させてセキュリティ強化を図れます。
手順4.インターネットゲートウェイやルートテーブルを作成する
サブネットを作成したら、インターネットゲートウェイとルートテーブルを作成しましょう。
インターネットゲートウェイとは、VPCからインターネットにつながる出入口のようなものです。インターネットゲートウェイを作成しなければ、インターネットへのアクセスができないので注意しましょう。
ただし、インターネットゲートウェイを作成したからといって、どの通信をインターネットに向ければ良いのかが明確になったわけではありません。
ルートテーブルを作成することで、どの通信をインターネットに向けるべきかを設定できます。ルートテーブルは、システムのパフォーマンスの最適化で重要な役割です。
ルートテーブルの設定までは、EC2インスタンスを作成するまでの準備と捉えると良いでしょう。
手順5.EC2インスタンスを作成する
AWSのEC2インスタンスを作成するとき、AWSのダッシュボードから「Launch Instance」をクリックしましょう。
AWSの画面にある「Launch Instance」をクリックし、EC2インスタンスを作成します。インスタンスを作成する際、以下のような設定を行う必要があります。
- AMIの選択(今回はLinuxの選択を想定)
- インスタンスタイプの選択
- ストレージの追加
- タグの追加
- セキュリティグループの設定
AWSで選択できるAMIの種類は、公式AMIやAWS Marketplaceで提供されるサードパーティのAMIなどさまざまです。
またインスタンスタイプは、CPU、メモリ、ストレージ、ネットワーク帯域幅などによって選べるものが複数あります。タイプによって、コストや性能特性が異なるので事前に確認しておきましょう。作成後、変更することは可能ですのでコストの面から最少スペックで起動するのが良いでしょう。
手順6.SSHを使ってインスタンスに接続する
インスタンスを作成したら、SSHを使ってインスタンスに接続します。
SSHとは、ネットワーク上で安全なアクセスを実現するために必要な暗号化プロトコルです。不正アクセスなどのトラブルを防ぐためにも重要です。
またSSHを使用する際、OSの種類によってソフトをインストールする必要があります。Windowsの場合は、SSHのクライアントソフト「Tera Term」などをインストールしましょう。
一方でMacの場合は、もともと搭載されている「ターミナル」の使用が可能です。そのため。SSHクライアントソフトをインストールする必要はありません。
AWSを導入するメリット6つ
クラウド上でのシステム構築やクラウド移行を考えている方は、AWSの導入を検討してみてはいかがでしょうか。まずは、AWSを導入するメリットを確認すると良いでしょう。
ここでは、AWSを導入するメリットを6つ紹介します。
構築や移行期間を短縮できる
AWSを活用することで、サーバーやHDDなどを自分で準備する必要がないので、システム構築や移行期間を大幅に短縮できます。
効率的に設計・構築を行えるので、特にビジネスを目的にシステムを構築したい方におすすめです。
またAWSには、公式で提供しているチュートリアルが充実しています。そのためAWSを利用したことがない初心者でも、チュートリアルに沿って操作を進められるでしょう。
コストを削減できる
AWSは初期費用が無料なので、導入費用を抑えたい方におすすめです。
通常のシステム開発では、サーバーやHDDなどの購入費や契約料金などがかかるので、どうしても初期費用がかかってしまいます。
一方でAWSなら、初期費用を準備しなくてもシステム構築やクラウド移行ができるので、はじめてクラウド上でデータを扱うという方にとっても導入のハードルが下がるでしょう。
また、月額料金の決定では従量課金制を採用しています。
システムのデータ量やデータ転送量、作動時間などによって料金が異なります。そのため大規模システムの場合は月額料金が高くなる傾向にありますが、小規模システムは低コストで運用できるでしょう。
さらにAWSのサービスの中には、無料利用枠を設けたものがあります。それらのサービスを活用すれば、よりコスト削減を実現できるでしょう。
過去には、AWSのサービスを開始してから129回以上の値下げを実施しています。これからも値下げを積極的に実施する可能性があるので、コスパ重視の方は必見です。
グローバル展開が期待できる
AWSで構築したシステムは、世界各国からアクセスできます。そのため世界中のユーザー向けシステムを作成した場合、グローバル展開が十分に期待できるでしょう。
ただし、グローバル展開と聞くと難しいとイメージされる方も多いのではないでしょうか。実際に海外へのシステム展開を行う場合、契約する手間がかかってしまいます。
一方でAWSを導入する場合、AWSでアカウントを作成した時点で世界中のデータセンターへのシステム展開が可能なので、難しい操作を行う必要はありません。
高性能かつ拡張性を高められる
AWSでは200以上のサービスを提供しており、必要なサービスを取り入れて性能を高められます。
AWSは日々アップデートされているので、常に最先端技術をシステムに反映させることが可能です。バージョンアップの回数は、1年に1,430回を超える年もありました。
またストレージやメモリなどいつでも変更でき、希望に合わせて柔軟に拡張が可能です。はじめは最低限必要なサービスを取り入れて、必要に応じてサービスの追加を検討すると良いでしょう。
セキュリティ向上を目指せる
AWSを導入すると、Amazon側で情報処理の最適化が行われるので、常にセキュリティ万全の状態を保てます。
セキュリティ対策はAmazon側に任せられるので、こちらが管理する手間も省けるでしょう。
またAWSを導入している企業の中には、マクドナルドなどの一流企業や、NTTドコモやソニー銀行などがあります。個人情報を扱う企業でも積極的に取り入れられているので、それほどセキュリティに対する信頼性が高いといえるでしょう。
日本語で対応を受けられる
AWSは、世界各国で利用されているサービスですが、日本語での問い合わせにも対応しています。
AWSのサポートプランによっては、24時間365日有人オペレーターによって対応が可能です。対応してくれるスタッフは、日本人なので返答も日本語で対応してもらえます。
また対応方法は、電話だけではなくチャットやメールもあります。システムエラーや不正アクセスなどの緊急時であれば、1時間以内に対応してもらえるので安心です。
緊急度が低い場合でも、24時間以内に対応してもらえることが多いので、何日も返答が来ないということはないでしょう。
AWSの導入の流れで注意すべきこと3つ
AWSを導入する際には、注意すべき点がないか確認しておきましょう。
ここでは、AWSを導入するときの流れで注意すべき点を3つ紹介します。
コストを把握しにくい
AWSは従量課金制を採用しているので、今後のコストを把握しにくい点がデメリットです。
AWS上で扱うデータ量や利用するサービスによっては、翌月から料金が高くなるケースがあります。定額制のサービスと比べると、予算内におさまるのか確認しづらいです。
また利用すればするほど料金がかさみやすいですが、休日や夜間などシステムを停止する時間をつくるなど、少しでもコストを抑えられます。
セキュリティ対策が必要である
AWSを導入する際には、セキュリティ対策が必須です。
AWSでのセキュリティを高めるには、IAMを設定してアクセス許可の管理を行いましょう。第三者がアクセスできないよう、権限を最小に抑えることがポイントです。
またデータの暗号化を行うことで、さらにセキュリティ強化が期待できます。定期的なバックアップなど、こちら側でもセキュリティ対策を実施することが大切です。
パフォーマンスの監視が必要である
AWSを導入したあとは、パフォーマンスの向上や維持のために監視する必要があります。
パフォーマンスを管理するには、モニタリングやログの回収が必要です。ただし、24時間365日間の監視には、人手や手間がかかってしまいます。
手間を省いたり問題をスムーズに解決するためには、AWS CloudWatchの利用がおすすめです。AWS CloudWatchを活用すれば、パフォーマンスを監視して障害などの問題が発生した際にはすぐに対処してもらえます。
まとめ
AWSを導入する流れでは、はじめにAWSアカウントを作成するなどの準備を行う必要があります。
AWSを活用することで、システムの構築期間やコストの大幅削減や、拡張性やセキュリティ精度の向上などのメリットが得られる可能性があります。
またAWSでは、カスタマーサービスで日本語での問い合わせが可能です。
ただし、コストの見積もりが複雑で導入費用を把握しづらく、常にセキュリティ対策を行う必要があるので、管理に手間がかかってしまいます。
AWSを利用したことがない初心者は、AWSのパートナー企業が提供している導入支援サービスの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
コストやセキュリティ面などの不安を払拭するためにも、一度AWS導入のプロに相談してみることをおすすめします。