AWS(Amazon Web Services)の導入事例22選|11個のジャンルに分けて紹介
クラウドコンピューティングサービスの導入を検討している方の中には、「どのサービスを利用すべきかわからない」という方もいるでしょう。
さまざまなクラウドコンピューティングサービスがある中、代表的なサービスとしてAWSが知られています。
AWSとは、「Amazon Web Services(アマゾンウェブサービス)」の略称です。
Amazonが提供しているクラウドコンピューティングサービスであり、サーバーやストレージ、データベースなどのさまざまな機能が備わっています。
本記事では、AWSの導入事例を企業ジャンル別に紹介します。
目次
- AWS(Amazon Web Services)とは?
- AWSを利用するメリット5つ
- AWSを利用する際の注意点2つ
- AWS(Amazon Web Services)の導入事例|企業ジャンル別に紹介
- ジャンル1.金融サービス
- ジャンル2.自動車
- ジャンル3.コンピュータ&エレクトロニクス
- ジャンル4.ゲーム
- ジャンル5.政府機関
- ジャンル6.製造業
- ジャンル7.不動産&建築
- ジャンル8.通信
- ジャンル9.運輸&ロジスティクス
- ジャンル10.トラベル&ホスピタリティ
- まとめ
- AWS(Amazon Web Services)とは?
- AWSを利用するメリット5つ
- AWSを利用する際の注意点2つ
- AWS(Amazon Web Services)の導入事例|企業ジャンル別に紹介
- ジャンル1.金融サービス
- ジャンル2.自動車
- ジャンル3.コンピュータ&エレクトロニクス
- ジャンル4.ゲーム
- ジャンル5.政府機関
- ジャンル6.製造業
- ジャンル7.不動産&建築
- ジャンル8.通信
- ジャンル9.運輸&ロジスティクス
- ジャンル10.トラベル&ホスピタリティ
- まとめ
AWS(Amazon Web Services)とは?
AWS(Amazon Web Services)は、Amazonが提供するクラウドコンピューティングプラットフォームです。インターネット上でさまざまなITリソースを提供しており、企業や個人が柔軟性と拡張性のあるインフラストラクチャを利用できます。
具体的には、サーバー、データベース、ストレージ、ネットワーキングなど、さまざまなITリソースを必要な時に必要なだけ利用が可能です。
AWSは世界中に広がるデータセンターを活用しており、高い信頼性と可用性を提供します。データセンターは地理的に分散されているため、障害が発生してもサービスの継続性の保持が可能です。
またAWSは、さまざまな規模のビジネスに適しており、企業の成長に合わせて柔軟にサービス拡張ができます。使いやすさ、拡張性、信頼性、セキュリティなどの面で優れたソリューションを提供しています。
AWSを利用するメリット5つ
AWSを利用しようか迷っている方は、まずAWSを利用することでどのようなメリットが得られるのか確認しましょう。
ここでは、AWSを利用するメリットを5つご紹介します。
初期費用を抑えられる
AWSはクラウド上でサービスを提供するため、物理的なサーバーの購入やセットアップの費用が必要ありません。新しいシステムを構築する際、高額な初期費用を削減できます。
初期費用を抑えられるため、スタートアップ企業やベンチャー企業、個人事業主にもおすすめです。システム構築のハードルが下がり、はじめてのシステム構築にも向いています。
また物理的なサーバーを管理する場所を用意する必要もないため、社内のスペースを確保する手間を省けます。通信環境とパソコンなどのデバイスがあれば、AWSでのシステム構築が可能です。
ランニングコストを最適化できる
AWSでは従量制課金モデルを採用しているため、実際に利用した分だけ料金が発生します。必要なリソースの容量や期間に応じて柔軟に調整できるため、無駄な費用を抑えてランニングコストの最適化が可能です。
多くのサービスや機能を提供しており、自社のニーズに合ったサービスを選択できます。必要な機能だけを利用することで、コストを最小限に抑えられるでしょう。
管理者の負担を軽減できる
AWSは自動化に重点を置いており、インフラストラクチャの管理や運用の自動化が可能です。たとえば、AWS CloudFormationを使用して繰り返し行う設定やデプロイ作業をテンプレート化することで、自動的に実行できます。
AWSは監視やログ管理のためのツールやサービスを提供しています。CloudWatchやAWS Configなどを利用すれば、リソースの状態やパフォーマンスをリアルタイムで監視し、問題を迅速に特定できるでしょう。
また、AWSはセキュリティにも配慮しており、管理者がセキュリティ対策を個別に実施する必要がありません。たとえば、AWS Identity and Access Managementを使用することで、アクセス制御を簡単に設定できます。
サービスを拡張しやすい
AWSは柔軟性と拡張性を重視した設計がなされています。さまざまなサービスや機能が提供されており、必要に応じてサービスを追加したり組み合わせたりすることが可能です。
リソースのスケーリングを簡単に行える仕組みを提供しており、たとえばEC2(Elastic Compute Cloud)で需要の変動に合わせて仮想サーバーの容量の増減が容易です。負荷の増加やビジネスの成長に柔軟に対応できるため、個人事業主から法人化を目指している方にも適しています。
またAWSは、多くのサードパーティツールやAPIとの統合も行えます。既存のシステムやツールとの連携がスムーズに行えるため、AWS上で新たな機能やサービスを追加する際にも柔軟性があります。
セキュリティ強化につながる
AWSは世界中に広がる信頼性の高いデータセンターを運営しているため、物理的なセキュリティ強化を実現します。データやシステムの安全性が確保できます。
たとえば、AWS Identity and Access Managementを使用して、アクセス制御を細かな設定が可能です。仮想プライベートクラウド(VPC)やネットワークアクセス制御リスト(NACL)を使用すると、ネットワークのセキュリティ強化につながります。
またAWS CloudTrailは、APIアクティビティを監視し、不正なアクセスや変更を検知できます。また、AWS WAF(Web Application Firewall)は、Webアプリケーションの攻撃を検知後の遮断が可能です。
さまざまなAWSのセキュリティ強化に関するサービスは、組み合わせることでセキュリティ強化の最適化ができます。セキュリティにおけるリスクを最小限抑えることで、ビジネスを展開しやすいといえるでしょう。
AWSを利用する際の注意点2つ
AWSを利用する前に、AWSの注意点を把握しておきましょう。ここでは、AWSを利用する際の注意点を2つご紹介します。
予算を明確にしづらい
AWSは、各サービスや機能には異なる料金が設定されています。利用量や地域、利用時間によっても料金が変動するため、正確な予算が立てにくいです。
需要が急増した場合は、追加のリソースを利用する必要があります。無駄な費用を削減できる一方で、予想外の費用が発生するケースもあるでしょう。
AWSについての知識が必要である
AWSは多くのサービスや機能を提供しており、それらを効果的に活用するために基本的な知識が必要です。AWSの各サービスの特性や適切な使用方法を理解することで、適切なリソースの選択や設定ができます。
セキュリティ対策を行うために、適切なアクセス制御の設定や暗号化の実施など、セキュリティの基本的な原則を理解する必要があります。AWSが提供しているセキュリティサービスの種類を知り、各サービスの役割について理解を深めていきましょう。
また正確な予算計画やコスト最適化のために、AWSの料金モデルや料金計算方法についての知識も身につけることが大切です。AWSに関する知識を持つことで、AWSの利用を最大限に活かせるでしょう。
AWS(Amazon Web Services)の導入事例|企業ジャンル別に紹介
AWSとは、Amazonが提供しているクラウドコンピューティングサービスです。Amazon Web Services(アマゾンウェブサービス)の略称であり、代表的なクラウドサービスとして知られています。
AWSで利用できる機能は、以下のとおりです。
- サーバー環境の構築
- 大量のデータ保存
- コンテンツの配信
- データベースの利用
- セキュリティ対策
- メールの送信
- ワークフロー管理
ジャンル問わず、さまざまな企業で導入されています。そこで本記事では、企業ジャンル別にAWSの導入事例を20選紹介していきます。
どのような企業で導入されているのか、導入することによって得られたメリットなどを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
ジャンル1.金融サービス
ここでは、AWSを導入している金融サービスを扱う企業を紹介します。
2023年4月時点でAWSを導入している金融サービス企業の事例は、全部で73個あります。
東京海上日動火災保険株式会社
東京海上日動火災保険株式会社は、主に損害保険業を行っている企業です。
この企業では、System of Engagement(SoE)・System of Insight(SoI)・System of Record(SoR)のクラウド化を目指し、基盤としてAWSを導入しています。2021年末の時点で3割ほどのクラウド化が完了しており、AWSへの移行が進められています。
最終的には主要システムもクラウド化していき、素早いシステム開発やシステム運用の実現、AWSを活用した人材育成が目標です。
イーデザイン損害保険株式会社
イーデザイン損害保険株式会社は、2009年に設立されや損害保険業を行う企業です。
この企業では、インシュアテック保険会社への変革の基盤にとAWSを導入しています。
サービスを導入してからは、新自動車保険サービス「&e」のシステム構築が実現しており、わずか1年あまりで開発されました。企業関係者は、「柔軟かつ保守性の高いシステムを構築できた」と実感しています。
ジャンル2.自動車
ここでは、自動車を扱う企業の導入事例を紹介します。
2023年4月時点のAWSを導入している自動車企業の事例は、全部で10個あります。
株式会社SUBARU
株式会社SUBARUは、自動車の製造や販売のほかに、航空機や宇宙関連機器の部品の製造や修理なども行っている企業です。
社内全体で情報の共有の実現を目標にデジタル化に注目したことがきっかけで、AWSの導入に至りました。
サービスを導入してからは、SUBARU車を利用している方向けのスマホアプリ「SUBAROAD」が開発されています。最終的な目標は、モノをつくる会社から笑顔を作る会社になることです。
参考:株式会社SUBARU
本田技研工業株式会社
本田技研工業株式会社は、自動車やオートバイなどを製造・販売している企業です。
CDNの移行の検討をきっかけに、サーバー環境の構築を行えるAWSを導入しました。
サービスを利用してからは、コストの最適化やパフォーマンス向上などが実現し、そのほかWebサイトの問い合わせ対応の改善や社員の生産性向上などの効果も得ています。
参考:本田技研工業株式会社
ジャンル3.コンピュータ&エレクトロニクス
ここでは、コンピュータやエレクトロニクスを扱う企業の導入事例を紹介します。
2023年4月時点のコンピュータやエレクトロニクスを扱う導入事例は、全部で10個あります。
カシオ計算機株式会社
カシオ計算機株式会社は、腕時計や電子楽器、電子辞書などを製造している企業です。
オンライン学習アプリを開発する際、コロナ禍がきっかけで予定していたリリース時期よりも3年も前倒しになってしまいました。しかしアジャイル開発に切り替えたのを機に、AWSを導入しています。
このサービスを導入してからは、モダンアプリの開発の経験がないエンジニアが開発期間4か月でリリースできました。開発した学習アプリを導入している学校は、現時点で600校以上もあります。
参考:カシオ計算機株式会社
三菱電機株式会社
三菱電機株式会社は、重電システムや産業メカトロニクス、情報通信システムなどを扱っている企業です。
2021年に創立100年をきっかけに、次々と新サービスを生み出すAWSに興味を抱き、取り入れることを決めました。
AWSを使って開発された「Linova」により、社員が手元でユーザー情報や機器情報などを確認できるようになり、この共通プラットフォームが不可欠となっています。
参考:三菱電機株式会社
ジャンル4.ゲーム
ここでは、ゲーム機器やゲームアプリなどを扱っている企業の導入事例を紹介します。
2023年4月時点のゲーム機器などを扱っている企業の導入事例は、全部で13個あります。
エンターテイメント株式会社
エンターテイメント株式会社は、スマホのゲームアプリやコンソールゲーム、パソコンのオンラインゲームなどさまざまなゲームを開発・提供している企業です。
スマホの人気パズルゲームアプリ「パズドラ」をリリースしたときからAWSを活用しており、現在ではサーバーサイドやマッチングシステム部分をAWSに任せています。
サービスを導入してから、サーバーを自分で用意するよりも開発・運営コストを半分にまで削減できています。
任天堂株式会社
任天堂株式会社は、家庭用レジャー機器を製造したり販売している企業です。
全世界でダウンロードされるほど人気ゲームのサーバーも、AWS上で構築・管理しています。
AWSを利用することで、瞬間的にアクセス数が増大してもデータベースリソースを利用して対応が可能です。特にリリース初日はリクエストが殺到しましたが、トラブルなくスムーズなレスポンスを実現しました。
参考:任天堂株式会社
ジャンル5.政府機関
ここでは、AWSを導入している政府機関の導入事例を紹介します。
2023年4月時点では、政府機関の導入事例が15個あります。
大阪府
大阪府では、新型コロナウイルス感染症の抑制対策として「大阪コロナ追跡システム」の開発を行うときにAWSを導入しました。
企画考案から2週間程度でリリースを実現でき、セキュリティ面も強化されています。
また大阪コロナ追跡システムは、新型コロナウイルスに感染している方を追跡できるものです。府民に浸透していき、感染予防に貢献できたとも捉えられるでしょう。
参考:大阪府
盛岡市
盛岡市では、ガバメントクラウド先行事業の開始に伴ってAWSを導入しました。
AWSを利用することで、通信回線費用が増加しましたが、ハードウェアのリース費用などのランニングコストを削減できるので、結果的には構築コストを大幅に削減できたといえるでしょう。
参考:盛岡市
ジャンル6.製造業
ここでは、製造業を行っている企業の導入事例を紹介します。
2023年4月時点では、AWSを導入している製造業の導入事例が全部で53個あります。
オムロン株式会社
オムロン株式会社は、制御機器やヘルスケア、社会システム、電子部品などさまざまな事業を行っている企業です。
研究では大量の計算を必要としていましたが、繁忙期の計算リソース不足が課題となっており、課題解消のためにAWSを導入しました。
サービスを導入してからは、計算リソースの上限がなくなりHPC環境の構築時間を5分ほどに短縮できました。
参考:オムロン株式会社
日本ハム株式会社
日本ハム株式会社は、主に食肉生産や加工食品事業を手掛けている企業です。
これからの種事業拡大やデータの連携拡大のために、AWSに移行することを決めました。
AWSを利用しはじめてからは、業務の品質向上やサーバーなどの管理にかかる時間削減、コスト削減を実現しています。管理などにかかる時間は10分の1に、コストは20%〜30%減少できました。
参考:日本ハム株式会社
ジャンル7.不動産&建築
ここでは、不動産業や建築業を行っている企業の導入事例を紹介します。
2023年4月時点では、AWSを導入している不動産&建築の導入事例が全部で7個あります。
大和ハウス工業株式会社
大和ハウス工業株式会社は、戸建てや賃貸住宅、分譲マンションなどを扱っており、環境エネルギーなどのさまざまな事業を展開している企業です。
AWSには、工場に配置したセンサーのデータをアップロードできる機能が備わっており、企業側でその仕組みをつくる手間が省けることから導入しました。
導入した結果、今までのシステムよりも導入費用を抑えられ、従来のシステムにはなかった新しいサービスを利用できるようになりました。
参考:大和ハウス工業株式会社
三菱地所株式会社
三菱地所株式会社は、不動産の売買や仲介、コンサルティングを行っている企業です。
コンテンツ開発と顧客接点の基盤にと、AWSの導入をはじめました。
その結果、さまざまな方々に体験や暮らしに関するサービスを提供できるようになり、企業が目指している「生活者が暮らしやすさを実感できる新しいまちづくり」の実現に近づいています。
参考:三菱地所株式会社
ジャンル8.通信
ここでは、通信関係の事業を行っている企業の導入事例を紹介します。
2023年4月時点では、AWSを導入している通信関係の企業の導入事例が全部で10個あります。
株式会社NTTドコモ
株式会社NTTドコモは、携帯通信キャリア大手として知られている企業です。
約9,000万会員のデータ分析の基盤として、7か月ほどでAWSに移行しています。
AWSを導入してからは、半年かかっていたサービス提供を3か月ほどでできるようになり、スムーズなサービス提供を実現しました。
参考:株式会社NTTドコモ
KDDI株式会社
KDDI株式会社は、総合通信事業者としてさまざまなサービスを扱っている企業です。
品質やコスト面でのメリットが見えたことをきっかけに、AWSの導入をはじめました。25PBの大容量のデータ移行も、AWSなら可能だと確信したことから導入を決めたようです。
導入してからは、運用コストを半分に抑えられ、システムのモダン化やクラウドネイティブ化の推進が実現しました。
参考:KDDI株式会社
ジャンル9.運輸&ロジスティクス
ここでは、AWSを導入している運輸やロジスティクスの事例を紹介します。
2023年4月時点では、運輸&ロジスティクスの導入事例が全部で10個あります。
西日本旅客鉄道株式会社
西日本旅客鉄道株式会社は、「JR西日本列車走行位置サービス」というWebサイトを2017年4月から運営しています。
自然災害のときはアクセス数が殺到するという考えから、バーストに耐えるためにAWSの導入をはじめました。
AWSを活用してつくったWebサイトは、月間平均400万PV以上の記録を残しており、さまざまなユーザーの役に立っているといえるでしょう。
参考:西日本旅客鉄道株式会社
京王電鉄株式会社
京王電鉄株式会社は、高速バス予約システムの開発をきっかけにAWSをフル導入しています。
今まではメールマガジンのシステム構築のためにAWSを活用していましたが、現在ではAmazon EC2やAmazon S3を中心にAWSのサービスをフル活用中です。
サービスを導入してからは、コストやリードタイムの大幅削減が実現し、社員のモチベーション向上にもつながりました。
参考:京王電鉄株式会社
ジャンル10.トラベル&ホスピタリティ
ここでは、AWSを導入しているトラベルやホスピタリティ関連の企業の事例を紹介します。
2023年4月時点では、トラベル&ホスピタリティの導入事例が全部で6個あります。
全日本空輸株式会社
全日本空輸株式会社は、顧客の体験価値を高めるのを目標に「ストリーミングエンジン」というシステムをAWS上に構築しました。
AWSを活用することで、1年ほどかかる開発を2か月ほどで完了しています。
ストリーミングエンジンを構築してからは、さまざまな施策を通して顧客の満足度向上につながりました。
参考:全日本空輸株式会社
日本航空株式会社
日本航空株式会社は、セキュリティの精度の高さや開発スピードなどの魅力からAWSを導入しています。
新たなクラウド基盤を構築する際、AWSを活用することで柔軟な運用やコスト削減が実現しました。
またクラウド化が進んでいるとともに、デジタル変革も加速してこれからの先端技術の活用に期待しています。
参考:日本航空株式会社
まとめ
AWSは、さまざまなジャンルの企業で導入されている人気のクラウドサービスです。
AWSを導入している企業の中には、コストやサーバーなどを運用する手間を大幅に削減できたところがありました。
また、膨大なデータでも短期間でクラウド化が可能です。
クラウドへのデータ移行やシステムの構築などを検討している方は、AWSを導入してみてはいかがでしょうか。
クラウドコンピューティングサービスの導入を検討している方の中には、「どのサービスを利用すべきかわからない」という方もいるでしょう。
さまざまなクラウドコンピューティングサービスがある中、代表的なサービスとしてAWSが知られています。
AWSとは、「Amazon Web Services(アマゾンウェブサービス)」の略称です。
Amazonが提供しているクラウドコンピューティングサービスであり、サーバーやストレージ、データベースなどのさまざまな機能が備わっています。
本記事では、AWSの導入事例を企業ジャンル別に紹介します。
AWS(Amazon Web Services)とは?
AWS(Amazon Web Services)は、Amazonが提供するクラウドコンピューティングプラットフォームです。インターネット上でさまざまなITリソースを提供しており、企業や個人が柔軟性と拡張性のあるインフラストラクチャを利用できます。
具体的には、サーバー、データベース、ストレージ、ネットワーキングなど、さまざまなITリソースを必要な時に必要なだけ利用が可能です。
AWSは世界中に広がるデータセンターを活用しており、高い信頼性と可用性を提供します。データセンターは地理的に分散されているため、障害が発生してもサービスの継続性の保持が可能です。
またAWSは、さまざまな規模のビジネスに適しており、企業の成長に合わせて柔軟にサービス拡張ができます。使いやすさ、拡張性、信頼性、セキュリティなどの面で優れたソリューションを提供しています。
AWSを利用するメリット5つ
AWSを利用しようか迷っている方は、まずAWSを利用することでどのようなメリットが得られるのか確認しましょう。
ここでは、AWSを利用するメリットを5つご紹介します。
初期費用を抑えられる
AWSはクラウド上でサービスを提供するため、物理的なサーバーの購入やセットアップの費用が必要ありません。新しいシステムを構築する際、高額な初期費用を削減できます。
初期費用を抑えられるため、スタートアップ企業やベンチャー企業、個人事業主にもおすすめです。システム構築のハードルが下がり、はじめてのシステム構築にも向いています。
また物理的なサーバーを管理する場所を用意する必要もないため、社内のスペースを確保する手間を省けます。通信環境とパソコンなどのデバイスがあれば、AWSでのシステム構築が可能です。
ランニングコストを最適化できる
AWSでは従量制課金モデルを採用しているため、実際に利用した分だけ料金が発生します。必要なリソースの容量や期間に応じて柔軟に調整できるため、無駄な費用を抑えてランニングコストの最適化が可能です。
多くのサービスや機能を提供しており、自社のニーズに合ったサービスを選択できます。必要な機能だけを利用することで、コストを最小限に抑えられるでしょう。
管理者の負担を軽減できる
AWSは自動化に重点を置いており、インフラストラクチャの管理や運用の自動化が可能です。たとえば、AWS CloudFormationを使用して繰り返し行う設定やデプロイ作業をテンプレート化することで、自動的に実行できます。
AWSは監視やログ管理のためのツールやサービスを提供しています。CloudWatchやAWS Configなどを利用すれば、リソースの状態やパフォーマンスをリアルタイムで監視し、問題を迅速に特定できるでしょう。
また、AWSはセキュリティにも配慮しており、管理者がセキュリティ対策を個別に実施する必要がありません。たとえば、AWS Identity and Access Managementを使用することで、アクセス制御を簡単に設定できます。
サービスを拡張しやすい
AWSは柔軟性と拡張性を重視した設計がなされています。さまざまなサービスや機能が提供されており、必要に応じてサービスを追加したり組み合わせたりすることが可能です。
リソースのスケーリングを簡単に行える仕組みを提供しており、たとえばEC2(Elastic Compute Cloud)で需要の変動に合わせて仮想サーバーの容量の増減が容易です。負荷の増加やビジネスの成長に柔軟に対応できるため、個人事業主から法人化を目指している方にも適しています。
またAWSは、多くのサードパーティツールやAPIとの統合も行えます。既存のシステムやツールとの連携がスムーズに行えるため、AWS上で新たな機能やサービスを追加する際にも柔軟性があります。
セキュリティ強化につながる
AWSは世界中に広がる信頼性の高いデータセンターを運営しているため、物理的なセキュリティ強化を実現します。データやシステムの安全性が確保できます。
たとえば、AWS Identity and Access Managementを使用して、アクセス制御を細かな設定が可能です。仮想プライベートクラウド(VPC)やネットワークアクセス制御リスト(NACL)を使用すると、ネットワークのセキュリティ強化につながります。
またAWS CloudTrailは、APIアクティビティを監視し、不正なアクセスや変更を検知できます。また、AWS WAF(Web Application Firewall)は、Webアプリケーションの攻撃を検知後の遮断が可能です。
さまざまなAWSのセキュリティ強化に関するサービスは、組み合わせることでセキュリティ強化の最適化ができます。セキュリティにおけるリスクを最小限抑えることで、ビジネスを展開しやすいといえるでしょう。
AWSを利用する際の注意点2つ
AWSを利用する前に、AWSの注意点を把握しておきましょう。ここでは、AWSを利用する際の注意点を2つご紹介します。
予算を明確にしづらい
AWSは、各サービスや機能には異なる料金が設定されています。利用量や地域、利用時間によっても料金が変動するため、正確な予算が立てにくいです。
需要が急増した場合は、追加のリソースを利用する必要があります。無駄な費用を削減できる一方で、予想外の費用が発生するケースもあるでしょう。
AWSについての知識が必要である
AWSは多くのサービスや機能を提供しており、それらを効果的に活用するために基本的な知識が必要です。AWSの各サービスの特性や適切な使用方法を理解することで、適切なリソースの選択や設定ができます。
セキュリティ対策を行うために、適切なアクセス制御の設定や暗号化の実施など、セキュリティの基本的な原則を理解する必要があります。AWSが提供しているセキュリティサービスの種類を知り、各サービスの役割について理解を深めていきましょう。
また正確な予算計画やコスト最適化のために、AWSの料金モデルや料金計算方法についての知識も身につけることが大切です。AWSに関する知識を持つことで、AWSの利用を最大限に活かせるでしょう。
AWS(Amazon Web Services)の導入事例|企業ジャンル別に紹介
AWSとは、Amazonが提供しているクラウドコンピューティングサービスです。Amazon Web Services(アマゾンウェブサービス)の略称であり、代表的なクラウドサービスとして知られています。
AWSで利用できる機能は、以下のとおりです。
- サーバー環境の構築
- 大量のデータ保存
- コンテンツの配信
- データベースの利用
- セキュリティ対策
- メールの送信
- ワークフロー管理
ジャンル問わず、さまざまな企業で導入されています。そこで本記事では、企業ジャンル別にAWSの導入事例を20選紹介していきます。
どのような企業で導入されているのか、導入することによって得られたメリットなどを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
ジャンル1.金融サービス
ここでは、AWSを導入している金融サービスを扱う企業を紹介します。
2023年4月時点でAWSを導入している金融サービス企業の事例は、全部で73個あります。
東京海上日動火災保険株式会社
東京海上日動火災保険株式会社は、主に損害保険業を行っている企業です。
この企業では、System of Engagement(SoE)・System of Insight(SoI)・System of Record(SoR)のクラウド化を目指し、基盤としてAWSを導入しています。2021年末の時点で3割ほどのクラウド化が完了しており、AWSへの移行が進められています。
最終的には主要システムもクラウド化していき、素早いシステム開発やシステム運用の実現、AWSを活用した人材育成が目標です。
イーデザイン損害保険株式会社
イーデザイン損害保険株式会社は、2009年に設立されや損害保険業を行う企業です。
この企業では、インシュアテック保険会社への変革の基盤にとAWSを導入しています。
サービスを導入してからは、新自動車保険サービス「&e」のシステム構築が実現しており、わずか1年あまりで開発されました。企業関係者は、「柔軟かつ保守性の高いシステムを構築できた」と実感しています。
ジャンル2.自動車
ここでは、自動車を扱う企業の導入事例を紹介します。
2023年4月時点のAWSを導入している自動車企業の事例は、全部で10個あります。
株式会社SUBARU
株式会社SUBARUは、自動車の製造や販売のほかに、航空機や宇宙関連機器の部品の製造や修理なども行っている企業です。
社内全体で情報の共有の実現を目標にデジタル化に注目したことがきっかけで、AWSの導入に至りました。
サービスを導入してからは、SUBARU車を利用している方向けのスマホアプリ「SUBAROAD」が開発されています。最終的な目標は、モノをつくる会社から笑顔を作る会社になることです。
参考:株式会社SUBARU
本田技研工業株式会社
本田技研工業株式会社は、自動車やオートバイなどを製造・販売している企業です。
CDNの移行の検討をきっかけに、サーバー環境の構築を行えるAWSを導入しました。
サービスを利用してからは、コストの最適化やパフォーマンス向上などが実現し、そのほかWebサイトの問い合わせ対応の改善や社員の生産性向上などの効果も得ています。
参考:本田技研工業株式会社
ジャンル3.コンピュータ&エレクトロニクス
ここでは、コンピュータやエレクトロニクスを扱う企業の導入事例を紹介します。
2023年4月時点のコンピュータやエレクトロニクスを扱う導入事例は、全部で10個あります。
カシオ計算機株式会社
カシオ計算機株式会社は、腕時計や電子楽器、電子辞書などを製造している企業です。
オンライン学習アプリを開発する際、コロナ禍がきっかけで予定していたリリース時期よりも3年も前倒しになってしまいました。しかしアジャイル開発に切り替えたのを機に、AWSを導入しています。
このサービスを導入してからは、モダンアプリの開発の経験がないエンジニアが開発期間4か月でリリースできました。開発した学習アプリを導入している学校は、現時点で600校以上もあります。
参考:カシオ計算機株式会社
三菱電機株式会社
三菱電機株式会社は、重電システムや産業メカトロニクス、情報通信システムなどを扱っている企業です。
2021年に創立100年をきっかけに、次々と新サービスを生み出すAWSに興味を抱き、取り入れることを決めました。
AWSを使って開発された「Linova」により、社員が手元でユーザー情報や機器情報などを確認できるようになり、この共通プラットフォームが不可欠となっています。
参考:三菱電機株式会社
ジャンル4.ゲーム
ここでは、ゲーム機器やゲームアプリなどを扱っている企業の導入事例を紹介します。
2023年4月時点のゲーム機器などを扱っている企業の導入事例は、全部で13個あります。
エンターテイメント株式会社
エンターテイメント株式会社は、スマホのゲームアプリやコンソールゲーム、パソコンのオンラインゲームなどさまざまなゲームを開発・提供している企業です。
スマホの人気パズルゲームアプリ「パズドラ」をリリースしたときからAWSを活用しており、現在ではサーバーサイドやマッチングシステム部分をAWSに任せています。
サービスを導入してから、サーバーを自分で用意するよりも開発・運営コストを半分にまで削減できています。
任天堂株式会社
任天堂株式会社は、家庭用レジャー機器を製造したり販売している企業です。
全世界でダウンロードされるほど人気ゲームのサーバーも、AWS上で構築・管理しています。
AWSを利用することで、瞬間的にアクセス数が増大してもデータベースリソースを利用して対応が可能です。特にリリース初日はリクエストが殺到しましたが、トラブルなくスムーズなレスポンスを実現しました。
参考:任天堂株式会社
ジャンル5.政府機関
ここでは、AWSを導入している政府機関の導入事例を紹介します。
2023年4月時点では、政府機関の導入事例が15個あります。
大阪府
大阪府では、新型コロナウイルス感染症の抑制対策として「大阪コロナ追跡システム」の開発を行うときにAWSを導入しました。
企画考案から2週間程度でリリースを実現でき、セキュリティ面も強化されています。
また大阪コロナ追跡システムは、新型コロナウイルスに感染している方を追跡できるものです。府民に浸透していき、感染予防に貢献できたとも捉えられるでしょう。
参考:大阪府
盛岡市
盛岡市では、ガバメントクラウド先行事業の開始に伴ってAWSを導入しました。
AWSを利用することで、通信回線費用が増加しましたが、ハードウェアのリース費用などのランニングコストを削減できるので、結果的には構築コストを大幅に削減できたといえるでしょう。
参考:盛岡市
ジャンル6.製造業
ここでは、製造業を行っている企業の導入事例を紹介します。
2023年4月時点では、AWSを導入している製造業の導入事例が全部で53個あります。
オムロン株式会社
オムロン株式会社は、制御機器やヘルスケア、社会システム、電子部品などさまざまな事業を行っている企業です。
研究では大量の計算を必要としていましたが、繁忙期の計算リソース不足が課題となっており、課題解消のためにAWSを導入しました。
サービスを導入してからは、計算リソースの上限がなくなりHPC環境の構築時間を5分ほどに短縮できました。
参考:オムロン株式会社
日本ハム株式会社
日本ハム株式会社は、主に食肉生産や加工食品事業を手掛けている企業です。
これからの種事業拡大やデータの連携拡大のために、AWSに移行することを決めました。
AWSを利用しはじめてからは、業務の品質向上やサーバーなどの管理にかかる時間削減、コスト削減を実現しています。管理などにかかる時間は10分の1に、コストは20%〜30%減少できました。
参考:日本ハム株式会社
ジャンル7.不動産&建築
ここでは、不動産業や建築業を行っている企業の導入事例を紹介します。
2023年4月時点では、AWSを導入している不動産&建築の導入事例が全部で7個あります。
大和ハウス工業株式会社
大和ハウス工業株式会社は、戸建てや賃貸住宅、分譲マンションなどを扱っており、環境エネルギーなどのさまざまな事業を展開している企業です。
AWSには、工場に配置したセンサーのデータをアップロードできる機能が備わっており、企業側でその仕組みをつくる手間が省けることから導入しました。
導入した結果、今までのシステムよりも導入費用を抑えられ、従来のシステムにはなかった新しいサービスを利用できるようになりました。
参考:大和ハウス工業株式会社
三菱地所株式会社
三菱地所株式会社は、不動産の売買や仲介、コンサルティングを行っている企業です。
コンテンツ開発と顧客接点の基盤にと、AWSの導入をはじめました。
その結果、さまざまな方々に体験や暮らしに関するサービスを提供できるようになり、企業が目指している「生活者が暮らしやすさを実感できる新しいまちづくり」の実現に近づいています。
参考:三菱地所株式会社
ジャンル8.通信
ここでは、通信関係の事業を行っている企業の導入事例を紹介します。
2023年4月時点では、AWSを導入している通信関係の企業の導入事例が全部で10個あります。
株式会社NTTドコモ
株式会社NTTドコモは、携帯通信キャリア大手として知られている企業です。
約9,000万会員のデータ分析の基盤として、7か月ほどでAWSに移行しています。
AWSを導入してからは、半年かかっていたサービス提供を3か月ほどでできるようになり、スムーズなサービス提供を実現しました。
参考:株式会社NTTドコモ
KDDI株式会社
KDDI株式会社は、総合通信事業者としてさまざまなサービスを扱っている企業です。
品質やコスト面でのメリットが見えたことをきっかけに、AWSの導入をはじめました。25PBの大容量のデータ移行も、AWSなら可能だと確信したことから導入を決めたようです。
導入してからは、運用コストを半分に抑えられ、システムのモダン化やクラウドネイティブ化の推進が実現しました。
参考:KDDI株式会社
ジャンル9.運輸&ロジスティクス
ここでは、AWSを導入している運輸やロジスティクスの事例を紹介します。
2023年4月時点では、運輸&ロジスティクスの導入事例が全部で10個あります。
西日本旅客鉄道株式会社
西日本旅客鉄道株式会社は、「JR西日本列車走行位置サービス」というWebサイトを2017年4月から運営しています。
自然災害のときはアクセス数が殺到するという考えから、バーストに耐えるためにAWSの導入をはじめました。
AWSを活用してつくったWebサイトは、月間平均400万PV以上の記録を残しており、さまざまなユーザーの役に立っているといえるでしょう。
参考:西日本旅客鉄道株式会社
京王電鉄株式会社
京王電鉄株式会社は、高速バス予約システムの開発をきっかけにAWSをフル導入しています。
今まではメールマガジンのシステム構築のためにAWSを活用していましたが、現在ではAmazon EC2やAmazon S3を中心にAWSのサービスをフル活用中です。
サービスを導入してからは、コストやリードタイムの大幅削減が実現し、社員のモチベーション向上にもつながりました。
参考:京王電鉄株式会社
ジャンル10.トラベル&ホスピタリティ
ここでは、AWSを導入しているトラベルやホスピタリティ関連の企業の事例を紹介します。
2023年4月時点では、トラベル&ホスピタリティの導入事例が全部で6個あります。
全日本空輸株式会社
全日本空輸株式会社は、顧客の体験価値を高めるのを目標に「ストリーミングエンジン」というシステムをAWS上に構築しました。
AWSを活用することで、1年ほどかかる開発を2か月ほどで完了しています。
ストリーミングエンジンを構築してからは、さまざまな施策を通して顧客の満足度向上につながりました。
参考:全日本空輸株式会社
日本航空株式会社
日本航空株式会社は、セキュリティの精度の高さや開発スピードなどの魅力からAWSを導入しています。
新たなクラウド基盤を構築する際、AWSを活用することで柔軟な運用やコスト削減が実現しました。
またクラウド化が進んでいるとともに、デジタル変革も加速してこれからの先端技術の活用に期待しています。
参考:日本航空株式会社
まとめ
AWSは、さまざまなジャンルの企業で導入されている人気のクラウドサービスです。
AWSを導入している企業の中には、コストやサーバーなどを運用する手間を大幅に削減できたところがありました。
また、膨大なデータでも短期間でクラウド化が可能です。
クラウドへのデータ移行やシステムの構築などを検討している方は、AWSを導入してみてはいかがでしょうか。