AWSでインフラ構築するメリットや注意点とは?構築する流れを紹介
システム開発を検討している企業のなかには、インフラ構築を自社で行おうかと考えているところがあるのではないでしょうか。
近年では、クラウド上でインフラ構築を行う企業が増えており、なかでもAWS(Amazon Web Services)を利用する企業が多いです。
そこで本記事では、AWSでインフラ構築する流れ、メリットやデメリットをご紹介します。
そのほか、AWSでのインフラ構築を自社で行うべきか、外部委託すべきかをケース別に開発するので、迷っている場合はぜひ参考にしてください。
目次
インフラ構築とは?
インフラ構築とは、情報システムやアプリケーションを稼働させるための基盤を構築・設定することです。具体的には、サーバー、ネットワーク、ストレージ、データベース、ミドルウェアなどのリソースを整え、それらを相互に連携させる作業を含みます。
インフラ構築は、システムの安定性や性能、セキュリティに大きく影響するため、十分な計画と慎重な実行が求められます。近年では、クラウドサービスを利用したインフラ構築が増えており、物理的なハードウェアの設置や運用を大幅に簡素化することが可能となっています。
AWSでインフラ構築する流れ
ここでは、代表的なクラウドサービスである、AWSでインフラ構築する流れを4つのステップに分けてご紹介します。
1.AWSアカウントを作成する
AWSのサービスを利用する際、まずこちらからAWSアカウントを作成する必要があります。アカウントを作成するとき、アカウント名や連絡先などの情報、支払い方法などを入力します。
2.ネットワーク環境を構築する
オンプレミス環境と同様に、まずはネットワーク環境を構築しましょう。AWSでは仮想ネットワークを構築でき、さまざまなAWSサービスを利用できるようになります。
仮想ネットワークを作成したら、サブネットとインターネットゲートウェイを設定します。サブネットは、ネットワーク内にIPアドレスの範囲の指定を行うものです。インターネットゲートウェイは、ネットワーク内と外部のインターネットの出入口となるものです。
また、ルートテーブルで通信通路のルールを設定し、どの通信をどの経路に接続すれば良いかを定めます。
3.サーバーサービスを構築する
ネットワーク環境を構築したら、サーバーサービスを構築します。代表的なAWSのサーバーサービスは、AWS EC2です。
AWS EC2では、Amazonマシンイメージやインスタンスタイプ、インスタンスの詳細、ストレージのサイズ、セキュリティグループなどを設定します。
4.ソフトやアプリケーションをインストールする
サーバーの構築ができたら、ソフトやアプリケーションをインストールします。インストール作業を行う前に、AWSのサーバーにSSH接続などを行いましょう。
インストールが完了したら、いきなり本番導入するのではなく、必ず導入する前に動作を確認することがポイントです。
AWSでインフラ構築するメリット
ここでは、AWSでインフラ構築するメリットを4つご紹介します。
初期コストを抑えられる
AWSの最も大きな特長として、多くのサービスが従量課金制となっています。使った分だけ料金が発生するというもので、最初から大きな投資を必要とせず、必要なリソースやサービスをオンデマンドで利用できます。
AWSは、新しいユーザーがサービスを試すための無料枠を提供しています。無料枠を利用すれば、初期のテストや小規模な運用でもコストを極力抑えられるでしょう。
セキュリティ機能が備わっている
AWSのデータセンターは、厳格な物理的セキュリティ基準に基づいて設計・運用されています。これにより、物理的なアクセスや破損からのデータの保護が図られています。
IAMを使用すると、ユーザーやサービスのアクセス権限の制御が可能です。具体的には、リソースへのアクセスを制限したり、セキュリティグループを利用して入出力トラフィックを制御したりできます。
またAWSは、多くの国際的なコンプライアンス基準を満たしています。そのため、特定の業界や地域での運用においても安心してAWSを使用できるでしょう。
物理的なハードウェアの準備や設定が不要である
物理的なハードウェアの購入、設置、配線、設定などには多くの時間がかかります。一方でAWSのようなクラウドサービスでは、数クリックで仮想サーバーやデータベース、ストレージなどのリソースを準備できます。
AWS上では、必要に応じてリソースを追加・削除することが容易です。突発的なトラフィックの増加やビジネスニーズの変更に迅速に対応できます。
また物理的なデータセンターは、サーバーの冷却や電源供給に多くのエネルギーを必要とします。AWSのようなクラウドサービスを利用することで、エネルギーコストの削減にもつながるでしょう。
データの耐久性が高い
AWSのリージョン内には複数のAZが存在し、これらは物理的に異なるデータセンターを指します。多くのAWSサービスは、データを複数のAZに分散して保存します。ひとつのデータセンターに障害が発生しても、他のAZに保存されているデータを利用してサービスの継続性を確保できるでしょう。
Amazon S3は、データの耐久性を99.999999999%で提供しています。高い耐久性により、データの喪失リスクを極めて低く抑えられます。
またAWSのストレージサービスは、データの冗長性を持って設計されています。ハードウェアの障害やその他の予期せぬ問題が発生した場合でも、データの可用性と耐久性が確保されます。
AWSでインフラ構築する際の注意点
ここでは、AWSでインフラ構築する際の注意点を2つご紹介します。
コストの管理が難しい
AWSのようなクラウドサービスは非常に柔軟性が高く、数多くのサービスやリソースを提供しています。その一方で、その利用に関するコストが複雑であり、管理が不十分な場合、予期せぬ高額な請求が発生する恐れがあります。
使用量、データの転送量、リージョン、リソースの種類など、多くの要因が請求額に影響するでしょう。インスタンスやストレージ、その他のリソースを作成した後、不要になったとしても、停止や削除を行わないと料金が発生し続けてしまいます。
またAWSのサービス間やリージョン間でのデータ転送は、特定の状況を除き、料金が発生します。大量のデータを頻繁に移動すると、高額な請求の原因となるケースがあるでしょう。
サービスの種類が多い
現在、AWSは200以上のサービスを提供しており、それぞれが異なる目的やニーズに対応するために設計されています。サービスの種類が多いという点は、強力な柔軟性をもたらしますが、同時にいくつかの注意点も伴います。
多くのサービスがあると、特定のニーズやタスクに最も適したサービスを選択するのが難しいという場合があるでしょう。特に、初心者や経験が浅いユーザーにとっては、何を選ぶべきか判断するのが難しくなってしまいます。
また各サービスは独自の特性、設定、APIを持っています。新しいサービスを効果的に利用するためには、それぞれのサービスに関する知識やベストプラクティスの習得が必要です。
AWSでのインフラ構築は自社で行うべき?外部委託すべき?
ここでは、AWSでのインフラ構築を自社で行うべきか、外部委託すべきかケース別に解説します。
自社でのインフラ構築をおすすめするケース
自社でのインフラ構築をおすすめするケースは、以下のとおりです。
- すでに自社内にAWSやクラウド技術に関する専門知識を持つ人材が存在する場合
- 機密性の高い情報を取り扱うシステムを構築する場合
- 長期的に運用コストを節約したい場合
自社での構築を通じて、社内に技術的なノウハウや経験を蓄積できます。将来的なプロジェクトやタスクにも活用できるでしょう。
またすでに自社内で運用しているシステムやアプリケーションとの密な連携や統合が必要な場合、自社での構築がスムーズである可能性が高いです。
インフラ構築の外部委託をおすすめするケース
インフラ構築の外部委託をおすすめするケースは、以下のとおりです。
- 自社にIT人材がいない場合
- インフラ構築を急いでいる場合
- 人的リソースに余裕がない場合
委託業者は、すでにAWSやインフラ構築についての知識を十分に培っています。優秀なIT人材も揃っているので、自社にIT人材がいない場合や当てられる人的リソースが足りない場合におすすめです。
またAWSのコスト管理は複雑で、無駄なコストを削減するための最適化技術が求められます。コスト最適化の専門家に委託することで、効率的なコスト管理が可能になります。
まとめ
AWSでのインフラ構築は、初期コストを抑えられる、セキュリティ機能が備わっている、物理的なハードウェアの準備や設定が不要であるなどのメリットがあります。
一方で、従量課金制によってコストの管理が難しかったり、サービスの種類が多く適切なものを選べなかったりと、デメリットもあります。
AWSでのインフラ構築を検討している方は、メリットだけではなく、デメリットも把握したうえで行うと良いでしょう。
また、AWSをはじめて利用する場合やIT人材がいない場合は、外部委託を検討してみてはいかがでしょうか。運営や保守までサポートしてもらえるケースがほとんどです。