AWSのコストを削減する方法とは?AWS導入でコストを最適化した事例を紹介
システムを運営している方のなかには、AWSに移行してコストを削減しようと考えている方がいるのではないでしょうか。
AWSにシステムを移行してコストを削減できる可能性はありますが、AWSでのコストの最適化を行うことが大切です。
本記事では、AWSのコストを最適化すべき理由やコストを削減する方法をご紹介します。
そのほか、AWSの導入によりシステム運営のコストを削減できた事例をお伝えするので、AWSの導入を検討している方はぜひ参考にしてください。
AWSのコストの仕組み
AWSの多くのサービスは、使用した量または時間に応じて料金が発生する。たとえば、Amazon EC2では使用したインスタンスの時間やタイプに応じて料金がかかります。
特定のサービスには、オンデマンド、予約インスタンス、スポットインスタンスなど、複数の料金モデルが存在します。ユーザーは、用途や予算に応じて最も適したモデルを選択することがポイントです。
また特定の機能やサービスを利用する際、追加の料金が発生するケースがあります。例として、Amazon RDSの自動バックアップや、AWS Shieldの高度な保護機能などが挙げられます。
AWSのコストを最適化すべき!その理由とは?
ここでは、AWSの利用でかかるコストを最適化すべき理由を3つご紹介します。
コストの削減
AWSのコストを最適化することで、費用削減につながる可能性があります。
コストを削減すると、その節約分をほかの重要なプロジェクトなどへの投資が可能です。具体的には、新しい製品の開発やマーケティング活動、人材育成などに更なる資金を振り分けることが可能となります。
AWSのコスト最適化は、単にコストを下げるだけではなく、リソースの使用効率も向上させるため、全体的な運用効率が上がるでしょう。
また定期的にコストを最適化すると、コストが長期的に安定しやすいです。結果的に、持続的なビジネス成長を実現できるでしょう。
資源の効率利用
AWSのコストを最適化すると、不要なリソースや過剰な容量を減少できる可能性があります。使用していないインスタンスやストレージ、過剰なデータ転送などを特定するには、定期的な監視と分析が大切です。
AWSは、新しいインスタンスタイプやサービスを頻繁にリリースします。最新の技術を活用したほうがパフォーマンスを高められる場合もあるので、AWSの最新情報は頻繁にリサーチしておきましょう。
過剰なコストによるビジネスリスク回避
従量制で料金が発生するので、突然の予算オーバーが起こりうるでしょう。しかしAWSのコストを見直すことで、過剰なコストを最適化し、ビジネスにおけるリスクを回避できる可能性があります。
継続的に過剰なコストが発生するビジネスは、投資家やパートナー、顧客からの信頼を失うリスクが高まります。一方、コストを効果的に管理する企業は、経営の安定性と効率性を示すことができ、ステークホルダーからの信頼を獲得しやすくなります。
AWSのコストを削減する方法
ここでは、AWSのコストを削減する方法を7つご紹介します。
1.使用していないサービスや容量への支払いを止める
使用していないAWSサービスや容量があるか確認し、それらを停止または終了しましょう。
Amazon CloudWatchを利用することで、リソースの利用状況を定期的に監視できます。どのサービスを終了すべきかわからないという方は、ぜひ活用してみてください。
また長期間保存している古いスナップショットは、ストレージコストがかかるため、必要なものだけを保持するように管理することがポイントです。
2.Amazon S3 Intelligent-Tieringを有効にする
Amazon S3 Intelligent-Tieringは、Amazon S3のストレージクラスのひとつです。
S3 Intelligent-Tieringは、データのアクセス頻度を監視し、データが頻繁にアクセスされるか、あまりアクセスされないかに応じて、自動的に最もコスト効率の良い階層にデータを移動します。これにより、ユーザーは手動でのデータの移動や階層の選択を気にすることなく、ストレージコストを最適化できるでしょう。
ビジネスやアプリケーションのニーズにより、データのアクセス頻度は時間とともに変動することがあります。S3 Intelligent-Tieringは、このような変動をリアルタイムでキャッチし、階層の移動を実現します。
3.Amazon DynamoDBにはオンデマンドのキャパシティーモードを利用する
Amazon DynamoDBのオンデマンドキャパシティーモードは、データの読み書きの量を事前に設定しなくても、必要に応じて自動で調整してくれる機能です。
従来のプロビジョンドキャパシティーモードでは、必要な読み書きキャパシティユニットをあらかじめ予測して指定する必要がありました。しかし、オンデマンドモードでは予測が不要となり、実際の使用量に応じて自動的にスケーリングされます。
また一部のアプリケーションでは、トラフィックの量が日や時間によって大きく変動することがあります。オンデマンドモードでは、このような急激なトラフィックの変動に柔軟に対応し、適切なキャパシティを提供します。
4.活用されていないネットワークリソースを削除する
Elastic Load Balancers、Elastic IPs、NAT GatewaysなどのAWSでのネットワークリソースは、利用している間だけでなく、プロビジョニングされている間もコストが発生します。
一部のネットワークリソースは、使用しているか否かに関わらず、固定の月額料金が発生するケースがあります。これらのリソースを削除することで、固定コストを削減できるでしょう。
また不要なネットワークリソースが存在することで、ほかのAWSリソースもそれに関連して不要に保持されている可能性があります。ネットワークリソースを削除することで、関連するほかのリソースの削減や整理も促進されるでしょう。
5.EC2 スポットインスタンスを利用する
スポットインスタンスは、AWSが未使用のEC2インスタンスを一時的に提供する形式で、オンデマンドインスタンスの価格よりも大幅に安価に設定されています。この割引は、場合によってはオンデマンド価格の10~20%で利用できる可能性があります。
スポットインスタンスの価格はリアルタイムで変動し、供給と需要に基づいて定まります。ユーザーは予算に合わせて最大の価格を設定し、その価格以下でのインスタンス起動が実現できるでしょう。
6.Compute Savings Plansを利用する
Compute Savings Plansは、AWSが提供する柔軟なコスト節約モデルのひとつです。
Compute Savings Plansでは、1年または3年のコミットメントで一定のコンピューティング容量を予約することで、オンデマンドよりも低い価格で利用できます。大幅な割引率が適用されるため、長期的な視点でのコスト削減が可能となるでしょう。
またCompute Savings Plansは、特定のインスタンスファミリー、サイズ、オペレーティングシステム、リージョンに縛られることなく、コンピューティング容量の予約を行います。これにより、需要に応じてリソースを変更する際の柔軟性が保たれ、最適なコンピューティングリソースを効率的に利用しながらコストの節約が可能です。
7.リザーブドインスタンスを利用する
リザーブドインスタンスは、AWSで特定のインスタンスを事前に予約することで、オンデマンド価格よりも割引された価格で利用できる仕組みです。
リザーブドインスタンスを利用する際、ユーザーは1年または3年の期間でインスタンスの利用を事前にコミットします。結果的に、オンデマンド価格に比べて大幅な割引を受けられるケースがあります。
また予約されたインスタンスの料金は固定されているため、将来のクラウドコンピューティングのコストを予測しやすいです。
AWSの導入でコストが削減した事例
ここでは、実際にAWSを導入してコストが削減した事例を4つご紹介します。
株式会社ユビタス
株式会社ユビタスは、クラウドインフラストラクチャの展開、クラウドゲームのプラットフォームからクラウドゲームコンテンツの提供を行っている企業です。
AWSを導入したことで、コストや環境負荷の削減とともに顧客からの信頼性が向上した効果が得られています。具体的には、10%以上のコスト削減効果が得られており、自前のサーバーがなくなったことで電力消費量も削減したといわれています。
また株式会社ユビタスは二酸化炭素削減に努めており、AWSに移行したことで環境への配慮やESGゴールの達成などもメリットのひとつです。
従来から提供していたITXパッケージのサービスに加え、環境負荷を抑える取り組みとして、IT DivestというIT機器の買取サービスパートナーを仲介と、AWS移行後のカーボンフットプリント削減の予測を提供しています。
ワンダープラネット株式会社
ワンダープラネット株式会社は、エンターテインメントサービス事業を行っている企業です。
AWSを導入してから、処理能力の向上と高いコストパフォーマンスを実現しています。サーバーの負荷は旧インスタンスと変わらないのにも関わらず、年約13%コスト削減できたと報告されています。
また月1~2回・1~2時間ほどサービスを止めていたメンテナンス作業は、数か月に1度まで減りました。サービス停止時間が縮小されたことで、顧客満足度の向上にもつながったでしょう。
さらにサーバー監視の負担も軽減でき、ほかの業務に注力できるようになりました。
ドリコム株式会社
ドリコム株式会社は、ゲーム事業やメディア事業、出版・映像事業を行っている企業です。
AWSでシステムを管理し出すようになってから、60%のコスト削減が実現しています。ダッシュボード運用の人的コストも80%削減しており、さまざまな業務を掛け持ちするスタッフが増えました。
またリアルタイムに近い運用により、サービスリリース後の反響をいち早く察知できる。それを踏まえた新たな施策も検討できるようになったと報告されています。
Happy Elements株式会社
Happy Elements株式会社は、モバイル向けゲームアプリの開発や運営を行っている企業です。
AWSの導入後、コスト削減と知見の共有を実現しています。イベント開催時には、スポットインスタンスを利用し、リリース直後よりも7 割コストを削減しました。
またAWS環境では。2020年8月に新作RPGの「エリオスライジングヒーローズ」、11月にはMusicにリアルタイム通信・マルチプレイの「みんなでライブ機能」を加えています。
新しいゲームを開発する際には、準備にかかる工数と時間も削減できたと報告されています。各ゲームタイトルのチームからインフラ業務を切り離し、開発に専念できる体制を実現しています。
引用元:AWS 導入事例-Happy Elements 株式会社
まとめ
AWSのコストは.不要なサービスやリソースの削除、低コストサービスへの切り替えなどで削減できる可能性があります。
AWSは、コストの最適化におすすめのサービスを頻繁に出すので、最新情報をチェックして共有することが大切です。
また、システムの開発・運営においてコスト削減を課題としている企業は、AWS導入により課題解決となった事例をぜひ参考にしてください。